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インバウンドで地域を盛り上げようとする動きが全国で広がるなか、それだけでは足りない現実も見えてきた。いま地方経済を陰で支えているのは、居住者でも観光客でもない“よそ者”。彼らは「関係人口」と呼ばれ、観光以上定住未満のかたちで地域を支援している。人口減少が進む日本を救うかもしれない、その新しい関係性とは?※本稿は、ローカルジャーナリストの田中輝美『関係人口の時代「観光以上、定住未満」で地域とつながる』(中央公論新社)の一部を抜粋・編集したものです。
居住地以外の地域とつながる
「関係人口」が広がりはじめた
関係人口という言葉が文献上初めて確認できるのは、2016年に出版された2冊の書籍だ。
『東北食べる通信』創刊編集長・高橋博之の『都市と地方をかきまぜる』。そして、雑誌『ソトコト』の編集長・指出一正の『ぼくらは地方で幸せを見つける』。
関係人口の提唱者と言える2人が、ともにメディア関係者であることも興味深い。
高橋は関係人口とは「交流人口と定住人口の間に眠るもの」とし、指出も定住人口と交流人口のどちらにも当てはまらない「地域に関わってくれる人口」であるとした。
研究の分野では、農山村再生論の小田切徳美が早い段階で関係人口の定義と、その政策推進に触れている。
小田切は、18年の論考「関係人口という未来――背景・意義・政策」で、選んだ自治体に寄付ができる「ふるさと納税」の寄付者が豪華な返礼品を目当てに寄付を行っていた場合、それは関係人口だと言えるのかと問いかけている。
やはり自分が得をするという利己的な欲ではなく、対象地域に関心を持っていることが重要だというのだ。







