というわけで、お酒を飲むと顔が赤くなる人は、アルコールによる食道がんのリスクが非常に高くなるということです。

 お酒を飲むと楽しい気分になることがあるので、長年の習慣になっている人もいると思いますが、健康を気遣うのならば、医師としては思いきってやめることをおすすめします。

コーヒー党の追跡調査結果は
「飲めば飲むほど、がん予防」

 皆さんは、コーヒー、紅茶、緑茶の中では、どれが一番好きでしょうか?

 好みが分かれるところですが、このうち、がんの予防効果に関しては、コーヒーがベストの飲み物だということが分かってきました。コーヒーには、様々ながんの発症リスクや死亡リスクを低下させる効果があると報告されているのです。

 多くのコーヒーのがん予防効果に関する研究の中でも、日本人を対象として3つのがん(肝臓がん、子宮体がん、前立腺がん)のリスクを調査した大規模な研究結果を紹介します。

《肝臓がん》
 2005年に、Journal of the National Cancer Institute という雑誌に報告された論文によると、およそ9万人の日本人を対象として、コーヒー摂取と肝細胞がんの発生率との関係について調査した大規模な前向き研究の結果、コーヒーをほとんど飲まない人と比べ、ほとんど毎日飲む人では肝臓がんの発症リスクが約半分に減少し、さらに、コーヒーを1日5杯以上飲む人では、肝臓がんのリスクは4分の1にまで低下していました。

 その後の日本人を対象とした研究をまとめた解析でも、コーヒーの摂取が1日1杯増えるごとに、肝臓がんのリスクが約25%減るという結果でした。つまり、少なくともこれまでの研究結果からいえることは、飲めば飲むほどリスクが減るということです。

《子宮体がん》
 子宮体がんについては、2008年にInternational Journal of Cancer という雑誌に報告された論文によると、5万人以上の日本人女性を対象として、コーヒーの摂取量と子宮体がんの発症率の関係を調べた研究の結果、コーヒーをほとんど飲まないグループに比べ、1日1~2杯飲むグループでは子宮体がんのリスクがおよそ40%、1日3杯以上飲むグループではおよそ60%も低下していました。