松本人志さんがキム兄こと木村祐一さんと思い出の場所を散歩する『ノスタル10分』という10分間の散歩番組や後輩芸人のシソンヌ長谷川忍さんとギョーザを作りながら7割ぐらいでしゃべってみる『7:3トーク』という番組から見始めました。だらだらと見ることができて、いい感じの力を抜いたコンテンツだと思いました。

『7:3トーク』ではテレビに出なくなった松本さんの吉本からの月給が15万円になったというわびしい話をしながら、ふたりでひたすらギョーザを作ります。長谷川さんが、

「ダウンタウンプラスではコントはやらないんですか?」

 と尋ねると、

「コントは金かかるからな」

 と松本さん。作ったギョーザはスタッフの食事になるという話です。まあこれだけを見ていると、華やかなテレビ業界のようなコンテンツ作りは無理なのかなと錯覚してしまうところでした。

 ところが視聴番組が『実のない話』になってきて状況が変わります。いつの間にか番組セットが豪華になって、ゲスト出演者もテレビで売れている芸人6人と問題を起こした芸人2人の8人体制です。しかもスタジオには観客が入っていますし、出演タレントにはタルタルのかかった鳥南蛮弁当が提供された様子です。

 事前の情報によれば、ダウンタウンプラスを始めるにあたって吉本興業はファンドを募り数社から数十億円の資金を集めています。金がないわけではなく、初期の段階から番組制作資金は十分にあったのです。

 そのうえで今回ニュースになった50万人の有料会員です。単純計算で月5億円のサブスク収入が入ってきます。テレビ業界のコスト構造を説明すると、地上波のゴールデンタイムのバラエティ番組の制作費が1時間番組で3000万円程度、深夜の30分のバラエティなら300万円前後が相場です。 ということはダウンタウンプラスの会員数があれば週2本、地上波のゴールデン並のスタッフ陣とタレントを起用した大型番組と、3~4本の深夜番組のような力を抜いた番組を制作し続けても黒字を出せる計算になります。