吉本興業では収入の9割は吉本がとるという都市伝説がありますが、それでも今月、吉本から松本さんに支払われる給料も15万円から急騰してとんでもない額になりそうです。
このダウンタウンプラスの状況は、ひょっとするとタレントによる動画配信ビジネスに革命をもたらす変化になるかもしれません。
これまでもYouTubeはタレント個人が活動する場であり、かつ収益をもたらす場を提供してきました。知名度のあるタレントの配信チャンネルは相応の視聴者を集めることができ、インフルエンサーとしてスポンサーを得て広告収入やアフィリエイト収入を得ていました。それで生活が成り立つような収入を稼ぐことができる人も何人もいました。とはいえテレビとは違い、YouTubeは低コストでのコンテンツ制作が基本です。
しかし個人が有料チャンネルで芸を見せて億を稼ぐ機会が出現したとなると、ビジネスとしての話の次元が違ってきます。
YouTubeタレントの場合、他の有力な配信者とコラボすることでチャンネル登録者をつぎつぎと膨らませていくような同業者との互助会的な仕組みが会員数を増やすためには重要です。ところがダウンタウンプラスの場合は逆に、自らの影響力で新人芸人ですらプロモートできる力を持ちえます。
仮にこのままの勢いで1年間、突っ走ることができたら、ダウンタウンプラスは新しいメディアとしての地位を確立できるでしょう。それは凋落著しいオールドメディアから見れば、脅威となるイノベーションになるはずです。
まだこれを「成功」と断じるには気が早いかもしれませんが、仮にダウンタウンプラスが成功したという前提で未来を予測すると、後追いのチャンネルがつぎつぎと立ち上がるような事態がこれから出現するのでしょうか?わたしのような未来予測を専門とする経済評論家にとっては、これはなかなかに興味深いテーマです。
天才の企画力が生む
「特異点」と生存戦略
とはいえ、じっくり考えてみるとダウンタウンプラスは特異点というべき特例であるかもしれません。それはふたつの理由で説明できます。ひとつは、ダウンタウンという存在がこの業界においてカリスマ的なポジションにいること。そしてもうひとつは、松本人志さんの企画人としての発想が図抜けていることです。







