1つの問題にかかる時間を
把握しながら進めるべし
1つの問題にかける時間の目安も大切です。例として四谷大塚や早稲田アカデミーで使われる『予習シリーズ』を挙げます。
・基本問題:~5分以内(解法の定着が目的、わからない問題はすぐ飛ばす)
・練習問題:1問5~10分以内(正確さ重視、考える力を養わせたい)
・応用問題・発展問題:15分以内(時間をかけすぎず、図示・条件整理を徹底)
算数が苦手な子ほど、難しい問題1問に対して30分~40分もかけ、宿題が終わらないことがあります。15分考えても解けない場合は「未定着」と割り切り、その問題を講師に質問するためのリストに載せておきましょう。
算数の成績向上に特別な魔法はありません。あるのは、こうした基本を繰り返すていねいな習慣だけ。ぜひ今日から取り入れてみてください。
反復学習の大切さと
それを阻む大きな壁
中学受験の算数の問題は、一度解いただけで完璧に定着することはまずありません。私自身、息子が同じ図形問題で何度もミスを繰り返す姿を見て、教えている私まで心が折れそうになった経験があります。しかし、問題を3、4回と繰り返していくと息子の表情が「あ!」と変わり、自信を持って解き始めた瞬間があります。こういった経験をしてから、私も息子も反復して学習することがいかに重要かを痛感しました。
とはいえ、「ただ何度もやればいい」という単純なものではありません。科学的に根拠のある「タイミング」や「頻度」、さらには「方法」で反復学習を行うことが大事です。
ドイツの心理学者・エビングハウスが提唱した「忘却曲線」というものがあります。それによると、記憶は、学習した直後から急激に忘れ始めると言います。具体的には、学習後1日で約70%以上忘れてしまい、その後も徐々に記憶が薄れ、数日後にはほとんど覚えていない状態になります。
しかし、忘却曲線に基づいて復習をするだけで、忘れるのを防ぐことができます。そのためには以下のタイミングで復習を繰り返してください。
1「学習した当日(直後)」
2「翌日」
3「1週間後」
4「1カ月後」
1~4まで毎回フルセットで復習する必要はありませんが、これを目安にミスした問題や苦手な問題に繰り返し取り組むことで、効率的に記憶が定着します。







