「阿部寛さんに似てますね」…ホステスのお世辞に隠された“社交辞令だけじゃない理由”とは?Photo:SANKEI

「昔より人の名前が出てこない」「覚えたつもりがすぐ忘れる」そんな悩みを感じていないだろうか。だが、精神科医・和田秀樹氏によれば、記憶力の差は“才能”ではなく“興味の持ち方”にあるという。70歳を過ぎても1万人の顔と名前を覚える政治家や、クラブのホステスが実践する記憶法には、誰でも今日から試せるヒントが隠れている。そして、“理解”こそが記憶を支える最大の鍵であることを、心理学の観点から明らかにしていく。※本稿は、精神科医の和田秀樹『70歳からの老けないボケない記憶術』(ワン・パブリッシング)の一部を抜粋・編集したものです。

1万人以上の人物を記憶するも
「そこに秘訣はない」

 優れた記憶力を持っている人は、生まれ持った能力が優れているのではなく、好奇心の幅が広い人なのです。

「そうはいっても、実感からして、やっぱり記憶力は落ちているよ」という人もいることでしょう。

 そういう人は、試しに何かの“丸暗記”を始めてみることをおすすめします。俳優の伊東四朗さんのように百人一首でもいいし、子供時代に覚えようとした国と首都の名前でもOKです。ちょっとトレーニングするだけで、記憶力がはっきりとよみがえってくることを実感できるはずです。

 私の知人に、70歳を過ぎても、「1万人以上の人の顔と名前を記憶している」という人がいます。ちなみにその人(仮にTさんとしておきます)の職業は政治家です。Tさんにとっては有権者の顔と名前を覚えることが当選への第一歩となるわけですが、その秘訣を聞いたところ、

「秘訣なんて、ありませんよ。それこそあらゆる方法を使って覚えています」

 という答えが返ってきました。

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名刺の記憶テクニック

 以下、その“あらゆる方法”の中から参考になりそうなものを2つ紹介してみましょう。