たとえば、前にいた会社で「パワーポイント」のことを「パワポ」と呼んでいたとしても、新しい職場の人たちが「ピーピーティー」(PPT)と呼んでいるのなら、自分も「ピーピーティー」と呼ぶようにするのが正解です。他の人と違う単語を使っていたら、いつまで経っても仲間に入れてもらえません。
私たちは、自分と同じ単語を使っている人には好感を持ちます。
逆に、自分と違う単語を使う人には、どうしても距離感を覚えます。
オランダにあるラドバウド大学のリック・ファン・バーレンは、レストランで実験をし、店員がお客さまと同じ単語を使うと、別の単語を使うときよりもたくさんのチップをもらえることを確認しています(※1)。
お客さまが、「持ち帰りでお願いします」と言っているのに、「はい、テイクアウトですね」とわざわざ言い換える店員さんに遭遇しますが、これは完全にNG。お客さまと同じ言葉を使わないと、イラッとさせてしまいますから。
中途で入社した人は、つい前の会社で使っていた単語を口にしてしまうかもしれませんが、それは完全にNGであることを肝に銘じておきましょう。
「前の会社では、みんな“日程変更”のことを“リスケ”って言ってたものですから」
「ふぅん、こちらの会社では、○○って言うんですね」
本人に悪気はないのかもしれませんが、こういうセリフを口にしてはいけません。言われたほうは、「それなら前の会社にずっといろよ、うちに来るなよ」とカチンとさせてしまいかねません。
「郷に入っては郷に従え」という言葉もありますが、中途入社でも、わりとすんなり新しい職場に受け入れてもらえる人は、新しい職場の人が使っているのと同じ言葉を使うことを心がけている人です。同じ単語を使うので、仲間外れにされずにすむのです。
米テキサス大学のアミー・ゴンザレスは、324名の大学生に4人から6人のグループを作ってもらい、22の質問に対するグループとしての答えを考えてもらうという実験をしてみました(※2)。
たとえば、「アメリカでもっとも健康的な州はどこだと思いますか?」といった質問が与えられたら、グループで話し合って答えを導くのです。







