超音速で飛ぶジェット戦闘機の翼が、旅客機や軽飛行機に比べて小さいのはどうしてなのだろう?

 飛行機は揚力を得て飛びますが、揚力は速度の2乗に比例するとともに、翼の面積にも比例します。つまり、高速を出せるエンジンを持ち、大きな翼を持つ飛行機ほど、大きな揚力を得られます。

 ただ、揚力は、一定以上の数値があれば、それ以上は必要ありません。つまり、スピードを出すことで、十分な揚力を得られるのなら、翼は小さくてもいい。具体的にいうと、速度が2倍になれば、翼の面積は4分の1でいいのです。

 むろん、翼を小さくし、全体重量が減れば、飛行機は身軽になります。その分、高速性能は向上するというわけです。

飛行機の翼に仕掛けられた納得のしくみ

 旅客機などの主翼からは、離陸・着陸時に、フラップが出てきます。フラップには、主翼の前方に出る前縁フラップと、主翼の後方から出る後縁フラップがあり、ともに離陸・着陸を安定させるための重要な装置です。

 まず、飛び立つときにフラップが出るのは、主翼の面積を大きくするためです。飛行機が浮くのは揚力によりますが、揚力は前項でも述べたように翼の面積に比例します。離陸時のフラップは、翼の面積を大きくし、より大きな揚力を得るための装置なのです。揚力が大きくなるほど、機体は浮きやすくなり、より短い滑走路からでも離陸することができます。

 一方、着陸時、旅客機は速度を落としますが、揚力は速度の2乗に比例するので、揚力は急激に落ちていきます。そのままでは失速の恐れがあるので、フラップを出すことで翼面積を広げ、揚力をカバーするのです。

 飛行機の翼の中には、燃料タンクもあります。旅客機の場合、主翼に加え、水平尾翼にも燃料タンクを積み込んでいることもあります。

 翼に燃料を積み込むと、翼が燃料の重みに耐えられないのでないかと心配する人もいるでしょう。ところが、話はその反対で、飛行機は燃料の重みを利用して機体の強度を保っているのです。