「経営学の父」と呼ばれるのは誰か、あなたは即答できますか?
その名は――ピーター・ドラッカー。
彼が残した言葉は、時代を越えて世界中の経営者やビジネスパーソンの指針となっています。なぜ没後20年近く経った今も、ドラッカーは読み継がれ続けるのか。
『かの光源氏がドラッカーをお読みになり、マネジメントをなさったら』の著者である吉田麻子氏に、現代にこそ響くドラッカーのメッセージを伺いました。(構成/ダイヤモンド社書籍編集局 吉田瑞希)
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現代のリーダーが直面する「価値観マネジメント」
――現代のリーダーが直面する“価値観の多様性”を、ドラッカーならどう扱ったと思われますか?
吉田麻子(以下、吉田):現代のリーダーが悩む大きな要因の一つが、この「価値観の多様性」です。
現代社会に存在するさまざまな軸での価値観。
今の時代の価値観の多様性は、少なくとも7つの軸に分けて考えることができます。
今の時代における「価値観の多様性」
① キャリア観の多様性(働く意味の多様化)
・ 出世したい
・ バランスを大事にしたい
・ 副業と両立したい
・ 場所に縛られず自由に働きたい
・ 会社に忠誠を尽くす気はないけど仕事は好き
今の世代は「働く=人生の中心」ではない人も多いため、ここに大きなギャップが生まれやすいといえます。
② 働き方の価値観の多様性(柔軟性重視 vs 一体感重視)
・ 在宅ワークを好む人
・ チームの空気感を重んじる人
・ 採算性を最優先にする人
・ 心地よい関係性を優先する人
同じ職場でも“居心地の良さ”の基準が世代や考え方によって異なっています。
③ 情報の扱い方・スピード感の多様性
・ すぐに結論がほしい人
・ じっくり考えたい人
・ データ重視
・ 直感重視
これは実は価値観の違いとして最も摩擦を生む部分かもしれません。
④ コミュニケーション観の多様性
・ 感情を共有したい人
・ 結論だけ共有したい人
・ 丁寧な言葉が安心する人
・ 砕けた会話の方が本音を言える人
話し方の“安心の基準”が違うとき、軋轢もまた生まれる可能性があります。



