新刊『12歳から始める 本当に頭のいい子の育てかた』は、東大・京大・早慶・旧帝大・GMARCHへ推薦入試で進学した学生の志望理由書1万件以上を分析し、合格者に共通する“子どもを伸ばす10の力”を明らかにした一冊です。「偏差値や受験難易度だけで語られがちだった子育てに新しい視点を取り入れてほしい」こう語る著者は、推薦入試専門塾リザプロ代表の孫辰洋氏で、推薦入試に特化した教育メディア「未来図」の運営も行っています。今回は、中学生の親御さんも将来のために知っておきたい大学受験の推薦入試で落ちる子の共通点について解説します。

学歴 受験Photo: Adobe Stock

「高3からでは遅い」という現実

一般入試の対策を本格的に始めるのは、一般的に、「高校2年生の終わり頃」という人が多いでしょう。
部活動を引退したタイミングで「そろそろ受験勉強を始めようかな」と思い、高3の夏から予備校に通い始める。これは非常に一般的な流れです。

ところが、総合型選抜(旧AO入試)は、そのスケジュールでは間に合わないのです。

「推薦だから楽なんでしょ」「高3になってから対策すれば十分」と考えている人ほど、実際に出願時期になってから焦ることになります。はっきり言って、高3からでは準備が間に合わない人がほとんどです。その理由は、大きく2つあります。

理由①出願が「10月」と早すぎる

まず、スケジュールの問題です。一般入試は、センター試験(共通テスト)が1月、その後に国公立や私立の本試験が続くという流れですが、総合型選抜はまったく別の時期に行われます。

多くの大学では出願が10月頃、合格発表が11月~12月です。つまり、一般入試よりも3~4か月も早く勝負が始まるのです。

そのため、高3の夏にようやく動き始めても、わずか数か月で、
・志望理由書の作成
・面接練習
・小論文対策
・ポートフォリオ(活動記録)の整理
をすべて終えなければなりません。

しかも、総合型選抜の志望理由書は「なぜこの大学でなければならないのか」「どんな学びを通じて何を実現したいのか」といった、深い自己分析と明確なビジョンが求められます。これを数週間で書き上げるのは、ほとんど不可能です。

理由②「活動の中身」が求められる

もう一つの理由は、評価されるのが“活動の中身”だからです。総合型選抜の面接では必ずと言っていいほど、「高校生活で力を入れてきたことは何ですか?」という質問が出ます。

もしそこで、「高3の夏に探究活動を始めました」「最近ボランティアを始めました」としか言えなかったら、どうなるでしょうか。

大学の先生からは、こう聞かれるかもしれません。

「では、高1・高2のときは何をしていたんですか?」

つまり、高3になってから慌てて活動を始めても、「継続性」や「深まり」が見えないのです。大学が見たいのは、「一時的なやる気」ではなく、「高校生活全体を通して、どんなことに興味を持ち、どのように成長してきたか」というプロセスです。

「中学時代は?」もよく聞かれる

もっと言えば、総合型選抜では、「高校時代に力を入れたこと」だけでなく、中学時代の活動や背景を聞かれることも珍しくありません

たとえば、
「中学時代から続けていることはありますか?」
「進路や関心の原点はどこにありますか?」
といった質問が面接や志望理由書で聞かれます。

これは、大学側が「その子の興味関心がどれだけ一貫しているか」「どんな経験が今の考え方を形づくっているのか」を知りたいからです。つまり、高校3年生になってからいきなり動き出すのではなく、中学生のうちから“自分の興味”を意識しておくことが重要なのです。

たとえば、「動物が好き」「地域のお祭りが好き」「料理をするのが楽しい」といった小さな関心でも構いません。それをきっかけにボランティアや探究活動に少しずつ関わっていけば、やがて立派な志望理由書のテーマになります。

総合型は「早く始めた人ほど有利」な入試

総合型選抜では、スタートが早ければ早いほど有利になります。高1・高2のうちに興味関心を見つけ、活動や探究に取り組み始めておけば、高3での出願時に「自分の物語」を語れるようになります。一方で、高3になってから準備を始めると、時間的にも内容的にも厳しくなりがちです。

面接で問われる「これまでの3年間で頑張ったこと」「高校生活で学んだこと」という質問に、説得力をもって答えるには、積み上げた経験が必要なのです。

総合型選抜は、単なる受験テクニックでどうにかなる入試ではありません。大学は、知識よりも「どんな姿勢で学び、どう社会に貢献したいか」を見ています

だからこそ、早くから「自分は何が好きなのか」「どんな問題を解決したいのか」といったテーマを探し始めることが、何よりの対策になります。その過程で得た経験は、志望理由書にも、面接にも、そして将来の進路選択にも必ず生きてきます。

(この記事は『12歳から始める 本当に頭のいい子の育てかた』を元に作成したオリジナル記事です)