老後の不幸を避けるための「2つの対策」
1. 老後までの「日数」を把握する
幸せな老後にお金はかかせません。金融庁の2019年の報告書では、「定年後には約3000万円のお金が必要」という試算が発表され、ニュースになりました。
安心な老後を迎えるためには、若いうちから貯金をしなければならないのですが、たいていの人は貯金をしません。「定年なんてまだまだ先のこと」という意識があるので、いま一つ貯金の意欲が湧かないのです。
ではどうすればいいのかというと、定年までに残された「年数」でなく、「日数」で考えてみるのはどうでしょうか。
ミシガン大学のネイル・ルイスは、「定年後の生活資金を貯めるには、いつ頃から始めればよいと思いますか?」という質問をするとき、半数の人には「30年後の自分」をイメージしてもらい、残りの半数には「1万950日後の自分」をイメージしてもらいました(※4)。すると後者のグループのほうが早く貯金を始めたいと答えることがわかったのです。
2. 仕事を一気に辞めない
定年を迎えたからと言って、一気にすべての仕事から手を引いてはいけません。正社員ではなくなったとしても、パートやアルバイトとしてしばらくは元の会社で働かせてもらいましょう。
オーストラリアにあるラ・トローブ大学のデビッド・デ・ヴァウスは、定職を持つ358名を対象に、定年前、定年して12カ月後、24カ月後、36カ月後まで追跡調査してみました(※5)。
358名のうちの220名は一気に仕事を辞め、138名は勤務時間や勤務日数を徐々に減らしたのですが、一気に辞めてしまった人ほど健康が悪くなることがわかりました。
定年を迎えてもゆっくりとライフスタイルを変化させたほうが心理的にも余裕が持てますので、しばらくは働いたほうがよいのです。
若いうちから来たるべき定年に備えて、いろいろな準備をしておきましょう。いきなり定年を迎えてうろたえたりすることのないよう、できるだけハッピーな老後を送れるように、しっかりと準備しておくことが大切です。
【参考文献】
※1 Stephan, Y., Sutin, A. R., & Terracciano, A. 2016 Feeling older and risk of hospitalization: Evidence from three longitudinal cohorts. Health Psychology ,35, 634-637.
※2 Krause, N. 2009 Religious involvement, gratitude, and change in depressive symptoms over time. International Journal for the Psychology of Religion ,19, 155-172.
※3 Bennett, K. M. 2002 Low level social engagement as a precursor of mortality among people in later life. Age and Ageing, 31, 165-168.
※4 Lewis, N. A. Jr. & Oyserman, D. 2015 When does the future begin? Time metrics matter, connecting present and future selves. Psychological Science ,26, 816-825.
※5 De Vaus, D., Wells, Y., Kendig, H., & Quine, S. 2007 Does gradual retirement have better outcomes than abrupt retirement? Results from an Australian panel study. Ageing & Society ,27, 667-682.







