「本質的すぎて、ブッ刺さりまくる」
そんな声が殺到して話題になっている本がある。それが、『ベンチャーの作法 ー「結果がすべて」の世界で速さと成果を両取りする仕事術』だ。ベンチャー転職支援のプロであり、1.1万人以上のキャリア相談、4000社以上の採用支援の経験がある高野秀敏氏が、「結果を出す働き方」をまとめた。時代と逆行するようなストイックな内容だが、「今の時代に、ここまで忖度なく本質を教えてくれる本はない」と、ベンチャー社員のみならず、経営者や大手企業の人にも注目されている。話題の同書から、その一部を紹介しよう。(構成/ダイヤモンド社・石井一穂)

頭がいいだけで「仕事はできない人」に教えてあげたい“仕事でいちばん大事なこと”とは?Photo: Adobe Stock

「計画が大事」は本当か?

「仕事は計画が命」

 多くのビジネスパーソンは、そう信じています。
 予定を立て、段取りを整え、準備万端で進める。それが仕事だ。
 こうした“正論”を吐く人は、職場に必ずいます。

 ですが『ベンチャーの作法』には、こう書いてあります。

「緻密な調査をおこない、確度の高い計画を立てて、詳細なスケジュールをつくって慎重に進めれば、締め切り間際で慌てないのに。これこそ仕事ができる人だ」
 社内の慌ただしい人の様子を見て、こんな正論を吐いたりします。
 当然正しくはありますが、これは理想論です。

――『ベンチャーの作法』(175ページ)より

 頭のいい人ほど、仕事が混乱しているときに限って「だから日頃から準備しておけば…」なんて言い出す。

 言っていることは100%正しい。
 でも、現場の空気は1ミリも読めていません。

「いや、今は理想論を語ってる場合じゃないでしょ」
 そう思われて終わりです。

「頭のいい人」よりも、本当に仕事ができる人

 仕事では、必ず“想定外”が起きます。

クライアントの急な方向転換
・上司の思いつき
・他部署の遅れ
・突然の仕様変更
・関係者の“急な休み”

 そんな“想定外”が起きたとき、頭のいい人ほど「話が違う」「こういうのは困る」と、固まってしまうことが多い。
 一方で、本当に仕事ができる人は、状況を理解しながら淡々と組み立て直します。

 実際に現場を支えているのは、緻密で理想的な計画を立てる人ではなく、理想が崩れても瞬時に動ける人の方なのです。

仕事とは結局、「なんとかする」こと

『ベンチャーの作法』には、こうも書いてあります。

すべての仕事は、結局は「なんとかする」ことです。
――『ベンチャーの作法』(174ページ)より

 これは、耳が痛いほど本質です。

 急にハシゴを外されたとしても、ゼロから作り直すことになったとしても、誰かの決断がひっくり返ったとしても、すぐに「じゃあどうする?」と切り替えられる人。
 この“なんとかする力”こそ、現場で最も不足し、最も価値があるスキルです。

 仕事は理想論では動きません。
 よくできたスケジュールも、精緻なロジックも、ときにはあっけなく崩れます。

 それでも必死に現実を動かし、最終的に「ちゃんと形にする人」が、もっとも信頼されます。

 頭の良さより大事な、“なんとかする力”。
 この力がある人こそ、不確実な時代でも必要とされ続けるのです。

(本稿は、書籍『ベンチャーの作法』に関連したオリジナル記事です。書籍では「なにがあっても結果を出す人の働き方」を多数紹介しています。)