「仕事は量より質が大事という言葉、ある意味では間違いです」
そう語るのは、転職エージェント「キープレイヤーズ」代表の高野秀敏さん。1.1万人以上のキャリア相談、4000社以上の採用支援の経験を持つヘッドハンターであり、「現場」と「経営者」の両方の視点で、「圧倒的に活躍する人たち」と関わってきました。
その高野さんがベンチャー流の「結果を出す働き方」をまとめた書籍『ベンチャーの作法』が刊行。“きれいごと”抜きの仕事論に、「若手のときに知りたかった」「すべてのビジネスパーソンに学びになる」とたちまち話題に。この記事では、本書より一部を抜粋・編集し、「多くの人がしている仕事の勘違い」をお伝えします。
「量より質」は、ある意味で間違い
「仕事において大事なのは、量より質でしょう」
このように主張する人もいます。
反論する余地のない事実ですが、一方で、こんな真理もあります。
「仕事の質が高い人は、量をやっている」
イチロー選手は誰よりも球場入りが早く、準備を怠らなかったと言われています。
歴史的な記録を次々と打ち立てている大谷翔平選手は、日本にいたときとは明らかに体つきが違います。おそらく膨大な量のトレーニングをしたはずです。
「量」をこなすから「質」が上がる
私も人材エージェントとして24年近くやってきましたが、当然、1年目から今のようにできていたわけではありません。
転職希望者の本音をどう引き出すか。
企業との相性をどう見抜くか。
転職を成功させるためにどのようなアドバイスをするか。
1万人以上の人と対峙してきたなかで少しずつ手応えをつかみ、自分なりに改良を重ねてきました。
今でも反省の毎日です。
良くできたと思う日もあれば、自分に落胆する日もよくあります。そういった蓄積によって自分の引き出しが増えて、質が上がっていくのだと感じています。
まずは「打席」に立とう
質と量、どちらが大事なのかではなくて、結局はどちらも大事です。
ただ、量をこなさないと「質」は上がりません。
百発百中でホームランを打てる天才なんていません。
まずは打席に立ってボールを受けて、最初は空振りばかりでも、「もうちょっと上かな?」「もう少し下かな?」「ちょっと振るのが遅いかな?」と改善していくことで、やがてバットにボールが当たるようになります。
その感覚を覚えて、繰り返しながらさらに改善して、ようやくホームランが打てるようになります。
1年間で10回しか打席に立たない打者と、100回打席に立つ打者では、能力は大きく開いていきます。
量をやるから、質が高まっていくのです。
(本稿は、書籍『ベンチャーの作法』の内容を一部抜粋・編集して作成した記事です)