「節約＋投資＋良い借金」で資産を一気に増やす！ 元外資系プロの台湾系アメリカ人が明かす不動産投資戦略とは？

元フィデリティ投信の投資調査部長を務めた著者であるポール・サイさんが「S&P500」の3倍超という驚異的なリターンを生んだ米国株の投資術を初公開！ポール・サイさんが株価低迷期にエヌビディアを買い、成長を見抜けたのは、企業に潜む“成長のストーリー”を見抜いたから。初の著書『台湾系アメリカ人が教える米国株で一生安心のお金をつくる方法！』では、そんな、成長ストーリーの読み解き方から、銘柄選びの極意、買いのタイミング、暴落時の対処法、リスク管理までを体系的に解説。さらに、厳選した“10倍株”候補の8銘柄も特別公開！新NISAで投資を始めた人、日本株から米国株へとステップアップしたい人に最適な、“米国株で勝つための決定版”だ。今回は、その『台湾系アメリカ人が教える米国株で一生安心のお金をつくる方法！』から、著者が42歳で一生安心できるお金をつくった不動産投資の方法について抜粋し解説する。

ポール・サイ
ストラテジスト
UCLA機械工学部卒、カーネギーメロン大学MBA修了。外資系大手資産運用会社フィデリティ投信にて株式アナリストとして活躍。上海オフィスの立ち上げ、中国株調査部長、日本株調査部長を歴任し、12年以上にわたり株式調査に従事。2017年に独立し、40代でFIRE（経済的自立と早期リタイア）を達成。現在は、不動産投資と米国株式を中心に運用しながら、メルマガ等で個人投資家への助言を行う。台湾系アメリカ人で、中国語、英語、日本語に堪能。（写真：圷邦信）

42歳でFIREできたのは節約志向のおかげ！

　私は台湾で生まれ、小学生の途中からアメリカに移住した台湾系アメリカ人です。アメリカはGDPの約7割を個人消費が占める消費大国であり、私自身もアメリカで長く暮らしましたが、消費スタイルについては「ジャンジャン消費するアメリカ人」というより、むしろ日本人の節約志向に強く影響を受けていたのかもしれません。

　私が自ら学習して身につけた外国語は日本語です。生まれ育った環境で自然と身についた中国語や英語とは違い、日本語は意識して学び、日本へ留学したり、インターンに参加したり、さらには日本で職に就いたりしました。日本という国に対して、私はこだわりを持っていたのです。そして、そんな中で日本人が持つ節約志向も身についていったのかもしれません。それが42歳でFIREできた要因のひとつだと思います。

節約して余ったお金は投資に回す！

　では、節約して、余ったお金を私はどうしていたのでしょうか？投資に回していたのです。収入が増えても私は生活水準を大きく変えずに、給与の約7割、つまりかなりの部分を投資に回していました。

　私が投資していた対象は、大きく分けると不動産と株式です。ここでは私自身が取り組んできた投資の中から、不動産投資についてお話ししましょう。

シアトルの不動産価格が割安だった！

　私が初めて不動産を購入したのは2010年のこと。アメリカのシアトルで戸建て住宅を買いました。私は現在シアトルに住んでいますが、この街に興味を持ったきっかけは、私の弟がアマゾンに転職したことでした。シアトルはアマゾンの本拠地であり、マイクロソフトなどもシアトル近郊に本社があります。周辺にはテクノロジー系企業が多く、将来さらに増えるだろうと感じ、成長が見込める地域だと考えたのです。

　シアトルはカナダに近く、札幌と同じぐらい、かなり緯度の高い都市です。しかし、実際に訪れてみるとオリンピック山脈の雨陰にあるため、雨が多くても小雨で、雪はほとんど降らず、暮らしやすい土地でした。それなのに不動産価格は安かったのです。

　私は投資で成功するには、人生を豊かに生き、好奇心を絶やさず、いろいろなものに触れ、興味を持つことが大切だと考えています。弟のアマゾン転職をきっかけにシアトルを訪れ、街をいろいろと観察してみたのも、その実践の一例でした。

　私がシアトルで購入を検討していた戸建て住宅の価格は36万ドル。私の妹はサンフランシスコに住んでいますが、当時そちらでは同様の住宅が100万ドルでした。シアトルはサンフランシスコ同様、テクノロジー分野の雇用が急速に成長していたのにです。

　また、シアトルの住宅価格はアジア、特に中国の主要都市に比べても割安でした。私が育った都市、ロサンゼルスで、私はアジア系の人々が移住してくることによって住宅価格が上昇するという経験をしていたのですが、それと同じことがシアトルでも起こると考えました。シアトルの戸建て住宅は明らかに割安だと、私には思えたのです。

悲観視されているところにチャンスあり！

　その他にもさまざまな理由があり、「ここでこの家を買わないのは愚かだ」とまで私には思えました。その一方、不安を感じていたのも事実です。時は2010年。リーマンショックの余波がまだ残っている時期でした。だからこそ、不動産価格が割安だったとも言えるのですが……。私は株式投資について、「悲観視されているところにチャンスはある」と考えています。

　不動産投資においてもその精神で、私はシアトルで戸建て住宅を購入する決断をしました。支えになったのは、長期の視点で見ればアメリカは大丈夫という確信でした。これが大正解でした。頭金8万ドル、計36万ドルで購入した住宅は、現在、もし売却すれば100万～130万ドルほどで売却できると思います。価格は大きく上昇したのです。

日本の不動産で有望な地域は!?

　その後は毎年のようにシアトルで戸建て住宅を購入し、最終的にはシアトルで合計4軒の住宅を所有することになりました。それに加えて、日本の福岡にも1軒、戸建て住宅を購入しました。人口減少傾向にある日本ですが、福岡は人口増加が目立つ都市です。さらに、地理的に東京などより、東アジアや東南アジアに近く、アジアのハブとなる将来性があると考えました。