学校の物品を破壊し、先生に手を上げる。その行為には、学校を中心とした社会に徹底して抗うという意味合いがあったのです。
とはいえ、子どもたちがここまで激しい言動に及ぶには、それなりの体躯と腕力が必要になってきます。
小学生が反抗したところで、体力的に勝る先生に力でねじ伏せられてしまう。そうなると、中学生以上の年齢にならなければ、なかなか校内暴力と呼ばれる行為に及ぶことはできません。不良漫画の主人公の大半が中高生であるのはそのためでした。
暴力件数は10年間で10倍以上に…
小学校低学年の暴走が止まらない
しかし、現在起きている校内暴力は、それとはまったく異なる様相を呈しています。
図5は、小中高生の暴力行為発生件数の推移を示すものです。ここ10年ほど、中高生の暴力件数に比べて、小学生が長期にわたって大きく増加していることがわかるでしょう。
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これを見て、どういうことなのかと首を傾げた方も多いのではないでしょうか。
小学生が大人である先生に立ち向かっていって勝てるわけがありません。校内で暴れたところで、簡単に首根っこをつかまれて、取り押さえられるでしょう。にもかかわらず、なぜ中高生を出し抜いて、小学生が校内暴力の主人公になっているのか。
実はこの疑問を明らかにすることが、現代の子どもの暴力を理解することにつながるのです。
小学生と一括りにしても、小1から小6までは身体面、精神面において大きな違いがあります。小学生の校内暴力の急増の原因を明らかにするには、何年生に暴力的な傾向が強いのかを見ていく必要があるでしょう。







