暴力の増加の程度を学年別に分けたものが、図6です。この統計からわかるのは、増加率は小学校の高学年より低学年の方が上がっている点です。小1に関しては、10年間で10倍以上という驚くべき状況です。

図表:学年別加害児童生徒数の推移同書より転載
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精神が未熟なままで
小学校に入学してくる

 低学年のクラスで起きている現状を理解するために、福島県の小学校で起きた出来事を紹介しましょう。

 小学校1年生のクラスに、とても甘えん坊の男の子がいました。彼は授業中も休み時間も区別なく担任の男性教員にじゃれついてきた。手をつなぎたがったり、膝の上に乗りたがったりするのです。

 ある日の掃除の時間に、男の子はいつものように先生に抱きつこうとしました。先生がそれに気づかずに振り返ったところ、腕が彼の顔に当たってしまった。

 すると男の子は自分を否定されたと思い込み、「先生なんて大嫌い!」と叫んで、あろうことかほうきで先生の顔面を殴りつけました。先生は眼鏡を壊され、顔の一部を怪我したことから、校内暴力事案として報告されました。

 みなさんは、この例を知ってどう感じるでしょうか。

 小1とはいえ、男の子の行動があまりに幼稚だという印象を抱いた方も多いと思います。

 冷静に考えれば、先生が故意に叩いたわけではないことがわかるでしょう。どう考えても、男の子が我を失って目上の先生に殴りかかるような状況ではありません。まるで保育園や幼稚園に通う未熟な子が、そのまま小学校に上がってきてトラブルを起こしているようです。

我慢を教えられずに育った子は
幼稚な暴力に走ってしまう

 実は、今の小学校で起きているのは、このような幼稚な子たちによる校内暴力なのです。