3歳くらいの子は脳が発達段階にあり、感情のコントロールができません。そのため、遊んでいる最中に「友達に遊び道具を奪われた」「絵本を貸してくれなかった」といった些細なことで頭に血が上り、衝動的に相手を突き飛ばすなどといった行動に出ることがあるでしょう。未就学児の間で起こるトラブルの大半は、こうしたものです。

 ただ、普通は5歳くらいになれば、前頭葉をはじめとした脳の器官もだいぶ成長し、理性によって感情を抑制できるようになるので、人とぶつかるような行動を慎んだり、話し合いによって解決したりするようになります。小学生くらいになると言動の慎み方を身につけ、親の助けなしに人と付き合えるようになるのはそのためです。

 ところが最近は、かつて年少や年中のクラスにいたような未熟な子どもたちが、そのまま小学校に上がってくる。それゆえ、小学生なのにこれまででは信じられないほど些細なことで逆上して、相手に殴りかかったり、物を壊したりする。

 そして、それが小学校の中でも、特に低学年の子の暴力が増えている要因となっているのです。