【2位】
「誰かを許すのは、その人のためじゃない
許せない相手に、自分の人生を支配させないためだ」

旅人KAD(かど)さん[X投稿者@kad4ani]ー旅先で出会ったドイツ人にもらった言葉

今年の1番の名言は、黒柳徹子さんの人生訓! 名言グランプリでふりかえる2025年

なにかに怒りをおぼえて、そのモヤモヤしたきもちがなかなか消えない。そんなとき、なかなかツラいものです。どうすれば、こころが軽くなるのでしょうか。

世界中を旅する日本人の男性、KAD(かど)さんが、旅先で出会ったドイツ人からもらった言葉としてX(旧ツイッター)に投稿したこの名言が、話題をよびました。

なかなか許すことのできない怒りをかかえ続けること。それは、その相手によって自分がコントロールされている状態なんだ、という新鮮な気づきが、ここにはあります。

審査では、自分の人生の「主導権」を握る姿勢を、うまく言い表した点が評価されました。

堀江貴文さん(実業家)
「失敗も含めて『未来にとらわれず、過去に執着せず、今を生きろ』っていうのは、僕の名言ですけど(笑)それと共通したものを感じました。
『許せないこととか、恨んでることとか、ないんですか』って言われたとき、僕は『忘れたほうがいいと思うよ、精神衛生上的に』って答える。まさに、許せない相手に自分の人生を支配されちゃうので。忘れた方がいい、ということです」

佐々木圭一さん(『伝え方が9割』著者)
「真剣に生きていると、不義理をされることがある。でもそれをずっと考えていることは、自分の人生のムダでしかない。なんとなくその相手に支配されているようなもの。このコトバで、救われる人がたくさんいると思う」

山口真由さん(信州大学社会基盤研究所特任教授・ZEN大学教授)
「必ず見返すという執着が私の原動力です。それはあの日の自分の不甲斐なさを今日は必ず超えてやるというガッツでもあるのです。だからこそ、この一言に衝撃を受けました。執着は、私を前に進めているようで、実はあの日にピン留めし、あの人の価値観を自身が内面化していたことの証左でもあったのだと」

第3位も、人生訓が詰まった言葉が選ばれました。

【3位】
「生きていく上で、不完全だから進もうと思う」
イチローさん[元プロ野球選手]ー米国野球殿堂入り選出後の会見で

今年の1番の名言は、黒柳徹子さんの人生訓! 名言グランプリでふりかえる2025年

アメリカ野球・メジャーで最多となる、年間262安打という大大大記録を打ちたてたイチローさん。1月、日本だけでなくアメリカでも「野球殿堂入り」に輝きました。

ところで、殿堂入りは投票で決まるしくみですが、満票に1票だけ足りず得票率は、99.7%だったそう。(394票中、得票は393票)

そのことについて、会見でイチローさんが語った名言です。他人からみたら「完全」でも、
「もっとできるんじゃないか?」と自分に問いかけつづけることで、圧倒的なパフォーマンスを発揮しつづけてきたイチローさん。

ひとは「もう完全だ」と思った時点で、歩みを止めてしまう。「まだ完全じゃない」と思うからこそ前に進めるんだ。そんな人生哲学が、この言葉に詰まっているように見えます。

審査員のコメントです。

堀江貴文さん(実業家)
「イチローさんみたいにすごい人でも、人生にゴールはないと。だから生きている間は、先に向かって進もうというメッセージだと思いました。非常に共感。私もそうやって生きているし、これからもそうやって生きていこうと思ってます。だから、ゴールはなんですか?と聞かれても、『ないですよ』って。ゴール終わったら、死ぬしかないと言っているんです。
不完全ってことは、伸びしろがあるってこと。逆に希望があるというか、やるべきことがあるんですよね」

坪田信貴さん(坪田塾 塾長)
「やっぱり人間の魅力って、不完全性だと思うんですよね。全てが完璧だと、近寄りがたいというか。隙があるからこそ、愛されるみたいなところがあるんじゃないかな」

佐々木圭一さん(『伝え方が9割』著者)
「これは結構、緊張感のある言葉だなと。イチローという、完全にしか見えない人が、不完全であると言っているところに意味を感じます。一方で、別の優しい視点で見ると、誰にとっても言える言葉だなとも思いました。高校野球をやっている人も、受験している人も、なかなか完全だって思いきれない。生きている人みんな、完全だって思ったことって、あんまりないと思うんですよね。『あ、不完全だからダメだ』ではなく『進もう』は、誰にとっても自分事化できる言葉だなと。
ひとつのりこえても、まだまだ不完全な自分に気づくもの。でも、不完全だからこそ次への野望をもやすし、その気持ちというのは尊い。完全と思えるイチローでさえも、そう思う。それを知ったときに、人は勇気づけられるし、感動するんですよね」

以上が、グランプリから第3位の言葉でした。
つづいて、第4位から第10位に選ばれた言葉を一気にご紹介します。

【4位】
「誰でもできる仕事こそ、誰がやったかで一番差が出るもの」
上島宏之さん[長瀬産業株式会社代表取締役社長]ー4月1日に新入社員に伝えた言葉

今年の1番の名言は、黒柳徹子さんの人生訓! 名言グランプリでふりかえる2025年

商社とメーカーの長瀬産業・上島宏之社長が、新入社員に贈った成長の秘訣は「突き詰める」ことでした。

最初は「誰でもできる仕事」でも、突き詰めれば「あなたにしかできない仕事」になり、それができる人のもとに、新しいチャンスが訪れるというメッセージ。

自分の仕事の意味や生きがいに悩んだ時にこそ思い出したい、気持ちを奮い立たせてくれる言葉です。

審査員は次のコメントを寄せています。

佐々木圭一さん(『伝え方が9割』著者)
「私はコピーライターですが、まさに、そんなつもりで、コピーを書いてきました。これからAIの時代となり、みなが同じくらい、いい感じになっていく。そんな時代だからこそ、人間が大切にしていくべきコトバだと思ったし感動しました。コトバを見たとき、なるほどと、手を脱臼しかけました」