健康寿命は30年伸ばせる!?100歳超の長寿者が示す、病気にならない体づくりの新常識写真はイメージです Photo:PIXTA

100歳を超えてもなお大病にかからず、自立した生活を送る人がいる。彼らは特別な健康法を実践しているわけでも、節制した生活をしているわけでもない。それでも健康寿命を長く保てるのはなぜか?最新の研究で明らかになった、その逆転の発想とは?※本稿は、医師のピーター・アッティア著、ジャーナリストのビル・ギフォード著、小坂恵理訳『OUTLIVE(アウトリブ)人はどこまで生きられるのか:健康長寿の限界を超える科学的戦略』(NHK出版)の一部を抜粋・編集したものです。

100歳を超える長寿者の
健康意識はむしろ低い

 私たちは、少しでも健康で幸せに長生きできる何らかの「秘密」があってほしいと願う。そのため、とんでもなく長生きした人たちの特別な習慣や儀式を知ることに強く執着し、マダム・カルマン(編集部注/1999年に119歳で没。生涯を通して喫煙していた)のような人たちに魅了される。

 すごい長寿を実現するには「健康な」行動が必要だと言われるが、私は素直に信じられない。実際、センテナリアン(編集部注/100歳を超える長寿者)の大きな集団をさらに厳密に調べてみると、この概念への疑いは(さらに)強まる。

 ブロンクスのアルバート・アインシュタイン・カレッジに所属するニル・バルジライは、アシュケナージ系〔ドイツ東欧系〕ユダヤ人のセンテナリアンを対象に大がかりな調査を実施したが、その結果からは、センテナリアンが他の人たちと同様、健康意識が高くないことがわかった。

 実際、他の人たちよりも意識が低いかもしれない。アインシュタイン・カレッジの調査に参加した500人近くの被験者の大部分には酒とタバコの習慣があり、なかには何十年も継続しているケースもあった。