これには驚かされる。そして、恩恵に浴するのはきわめて健康な人たちに限定されない。下位25パーセントから25~50パーセンタイルのグループ(すなわち、平均に少し届かないレベル)に上昇するだけでも、死亡リスクがほぼ半減することが研究からはわかった。
JAMAに掲載された論文の著者らはつぎのように結論した。
「心肺フィットネスは長期死亡率とのあいだに逆相関の関係がある。しかももたらされる恩恵には上限が観察されない(この部分は私が強調した)。有酸素能力がきわめて高い人は、長生きする可能性が非常に高い」
最大酸素摂取量が多ければ、高血圧や喫煙習慣の弊害が相殺される可能性がこうしたハザード比からは暗示される。しかし私は、こうしたデータからそう断言することはできない。
ランダム化比較試験を行なわないと確信できないが、多少の疑問を持っている。だが、これだけは強く確信している。最大酸素摂取量が少ないよりも多いほうが、健康全般や長寿に良い影響がおよぶ。
そして、さらに良いニュースもある。トレーニングを積めば、最大酸素摂取量は増加するのだ。フィットネスに関するこの計測器の針を大きく動かすことができる。では、これから説明していこう。
筋トレをするだけで
死亡リスクは2分の1に
心肺フィットネスと長寿のあいだに強い相関性があることは、以前から知られていた。だが、筋肉も同じぐらい強く長寿に関連していると知って、驚かれるかもしれない。
実は私もそうだった。年齢が50歳以上のおよそ4500人の被験者を10年にわたって観察研究した結果によれば、筋肉量が少ない人は対照群と比べ、この期間の死亡リスクが40ないし50パーセント高かった。
そして詳しい分析の結果、大事なのは筋肉量だけでないことがわかった。筋肉の力、すなわち力を生み出す能力も重要だった。
ジムで大胸筋や上腕二頭筋を大きくするだけでは十分ではない。こうした筋肉を強化する必要がある。力を創造できなければならない。筋力が弱い被験者は死亡リスクが2倍に増える。







