なぜ、日本留学だったのか。
「英国は生活費や授業料が高くて大変でしたが、日本は留学コストが安い上に、街も住みやすく、適応しやすいと感じた」と話す。
安徽省安慶市の出身。2019年、中国の大学を卒業後、英国・ロンドンの大学院に入学したが、わずか数カ月後に新型コロナウイルスの感染拡大に見舞われた。
「ロンドンでは多くの死者が出て恐怖を感じました」と、当時の混乱ぶりを振り返る。金銭面でも厳しかったようだ。
『ニッポン華僑100万人時代 新中国勢力の台頭で激変する社会』(日本経済新聞取材班、KADOKAWA)
彼は言う。
「私の両親は中国の国有企業に勤める、いわゆる中間層です。決してリッチな家庭ではありません。そのため、私はロンドンでは貧しい生活を強いられました。コロナとお金が……。それが私が英国を離れた理由です」
それでも彼は、海外留学をあきらめきれず、中国に帰国後も必死で「道」を模索した。その中でも中国から距離が近く、安全とされる日本を選び、2022年に東大の大学院に入学した。
日本で暮らして早2年余り。英国と日本との生活を比較して、どうなのか。
「英国では学費が年間数千万円かかりますが、日本だと数百万円程度で済みます。日本はやっぱり世界で最も留学コストが安い国だと感じます。留学生からすると、本当に魅力的な国ですね」







