養鶏事業者はコストが上がり、価格を大幅に引き上げたいにもかかわらず、小売店側ではできるだけ安く仕入れたいという逆の力学が働いていますから、価格がなかなか折り合わず、結果として養鶏事業者の経営状態は近年、急激に悪化しています。

 経営状態が悪くなると当然、賃金も下がってきますから、養鶏事業を行っている会社に入ろうという人も少なくなり、さらには経営者が高齢だった場合、これ以上の事業継続は難しいと判断して養鶏場を閉じるケースも増えてきます。

 コストが上がって儲からないことに加え、事業としての継続も困難となれば、事業者の数が減ってきますから、市場に供給される卵の量も減ることになります。こうしたところに鳥インフルエンザが重なったため、一気に品不足となり、価格が急騰したというのが値上がりの背景と考えてよいでしょう。

 確かに鳥インフルエンザは一段落したかもしれませんが、今、お話ししたような状況はまったく変化していません。依然として円安は進んだままですし、原油や飼料の輸入価格は高騰を続けており、各種輸送費やパッケージ費用、そして人件費も増えていますから、養鶏事業者の経営環境は悪いままです。

 近年の日本人は、多くの商品が一気に値上がりするという経験をしていませんから、どうしても、値上がりは個別要因であり、そのうち値段は元に戻るだろうという無意識的なバイアスが働いてしまいます。エッグショックに対する世間の反応もまさにこれに該当するのですが、全般的にコストが上がっており、このままでは養鶏事業者の事業が成立しないという環境は変わっていません。そうなると、引き続き、卵の価格は下がりにくいという見通しを立てざるを得ない状況です。

コメの品薄と価格高騰は
どうして起きたのか

 似たような話は、私たちの主食であり日本人の魂ともいえる米にも及んでいます。2024年、米の価格が急上昇して一気に品不足となり、一時はスーパーの棚から米が消えるという前代未聞の事態が発生しました。一部の人は、これまでにない光景を目にして「令和の米騒動」と表現しています。

 米の価格上昇についても、私はあちこちで解説してきたのですが、卵の問題と同様、ほとんどの人は私に「いつ価格は下がるのですか」と質問してきます。そして残念なことですが、私は「当分、価格は下がりそうもない」と答えるしかありません。