卵の場合、安ければたくさん買いたいという気持ちが消費者にあり、潜在的な需要は旺盛です。しかしながら、米の場合、少し事情が異なります。私たち日本人は米を主食にしていると考えがちですが、現実はそうでもないのです。

 米の消費量は過去数十年にわたって一貫してマイナスが続いており、激減ともいえるペースで私たちは米を食べなくなっています。具体的に言うと、60年前との比較では半分以下、30年前との比較でも3割近くの減少です(図2-1)。

図表:米の1人あたり消費量同書より転載 拡大画像表示

 米は日本の主食であり、緊急時の食糧確保の必要もありますから、以前は政府が責任を持ってその生産量を管理していました(食糧管理制度:いわゆる食管制度)。食管制度は1995年に廃止されましたが、今でも他の食品と比較すると政府が生産に強く関与していると考えて差し支えありません。

 日本人は急激な勢いで米を食べなくなっていますから、それに対して政府や農業関係者は生産量の削減という形で対応してきました。以前は米の生産量を減らす政策を減反と呼んでいましたが、この減反政策も2018年に廃止されたものの、似たような政策は継続していると考えてよいでしょう。

 減反を続けているのは、農家の経営を守るためです。

 消費量が著しく減っているにもかかわらず生産量を変えなければ、値崩れして、破綻する農家が続出してしまいます。政府の農業政策の是非はともかく、消費量が減っている以上、生産量を少なくするのは市場メカニズムとして当然の結果です。

 生産量が少なくなると、単位あたりの利益が大きくなければ、やはり農家の経営は成り立ちません。こうした理由から多くの農家が、より高い利益率を確保できる高級米にシフトすると同時に、生産量を減らすという措置を続けてきたわけです。