なぜイオンは中国の日本叩きのターゲットにならなかったのか? Photo:JIJI
浜崎あゆみの公演中止など、中国で日本関連イベントへの“嫌がらせ”が相次いでいます。しかし、そんな中でもイオンモールはなぜか無傷で新店をオープン。ネットでは「親中企業だから優遇された」との声もありますが、実はそこには、中国政府ですら手を出せない“巧妙な仕掛け”がありました。感情的な対立を超えた、したたかな「安全保障戦略」の全貌を解き明かします。(ノンフィクションライター 窪田順生)
浜崎あゆみがアウトで
イオンは無傷なワケ
中国で日本関連イベントが相次いで中止や延期に追い込まれている。
11月28日、歌手の大槻マキさんが「ONE PIECE」(ワンピース)」の主題歌を歌っていたときに、急に照明と音楽が消されて退場させられた。翌29日には、歌手の浜崎あゆみさんのコンサートが「不可抗力」を理由に主催者によって中止された。
そんな「日本排除」の動きがあるなかで、ネットやSNSがザワザワするような不可解な現象も起きている。11月27日、中国湖南省長沙市で「イオンモール長沙湘江新区」がつつがなくオープンしたのだ。
日本経済新聞が報じたところによれば、このイオンモールの開業式典には地元の省政府関係者も来賓として出席して、華々しく行われた。午前9時の開業に合わせて、多くの周辺住民がやってきてショッピングや食事を楽しんだという。
イオンが日本企業ということはもちろん、中国人もよく知っている。2012年に中国全土で反日デモが盛り上がった際には「ジャスコ黄島ショッピングセンター」が反日デモ隊約3000人に襲撃され、鉄パイプや石で店内が破壊され復旧に2カ月かかった。
そんな過去のあるイオンが今回は嫌がらせどころかなんの圧力もなしで、アニメイベントやJ-POPコンサートが次々と中止に追い込まれる――。この「謎展開」を受けて、ネットやSNSで盛り上がっているのは「イオンと岡田克也氏は親中で中国のために動いているのではないか」という陰謀論である。







