今の回転寿司チェーンの主流は、人件費の最小化を突き詰めたシステム。シャリはロボットが握り、そこにネタをのせる。注文はタッチパネル、提供は高速レーン。それでも、ネタは想像以上にしっかりしていて、ちゃんとうまい。そして何より安い。
大量仕入れによるコスト効率のよさと、管理の徹底がその味を支えている。スシローはもはや〈寿司屋〉というより、〈寿司が食べられるファミレス〉に近い感覚だった。唐揚げ、ポテト、スイーツ、茶碗蒸し、味噌汁、ラーメン……。和洋中、あらゆるジャンルの〈つまみ〉がそろっていて、子どもから大人まで楽しめる。
僕自身も、寿司だけでなく茶碗蒸しや味噌汁を注文し、最後にはコーヒーも頼んで、2人でたっぷり楽しんで4390円。これは本当に驚きだった。
回転寿司チェーンから学ぶべきこと
注文システム、提供のスピード、季節ごとのフェア、子ども向けのお楽しみや仕掛け……。スシローをはじめとする日本の回転寿司チェーンには、「どうすればもっと客に喜んでもらえるか」という視点が徹底されている。
単に寿司を出すだけじゃない。すべてが〈食の体験〉としてデザインされている。しかも、それを全国どこでも、同じクオリティーで提供できているというのがまたすごい。
『僕が料理をする理由 ~AI時代を自由に生きる40の視点~』(堀江貴文、オレンジページ)
以前スシローの社長と対談したときにも聞いたが、現在スシローのフォーマットは、ある意味敵なし状態。2025年3月時点で、海外スシロー単体の店舗数は200店舗を突破し、26年度には海外310~320店舗を目指す計画だという。
実際、ネタの7割はすでに海外からの仕入れで構成されていて、同じ仕入れルートがあれば、同じ品質の寿司を海外でも展開できるのが強みだ。僕はこれを「インフラとしての食文化」と呼びたい。
高級寿司店に行って「うまい」と感じるのは、ある意味当たり前だ。でも、ファミリーや学生、サラリーマンが気軽に入れる場所で、あれだけの体験価値を提供しているというのは、文化の成熟度の象徴だと思う。
回転寿司というフォーマットには、日本の技術力・企画力・おもてなし精神がすべて詰まっている。







