企業が求める
「親和性」の正体とは

 企業が未経験者を採用する際、決して“ポテンシャルだけ”で選考をしているわけではありません。

「未経験でも、できるだけ実務に生かせるスキルや経験を持っている人材を採りたい」――これは多くの企業が本音で抱える採用スタンスです。

 そのため、未経験業界に挑戦する上では、「これまでの経験がどのように生かせるか」を、採用企業側の視点で整理をする必要があります。

 選考で特に重視されるのが、“親和性”の高さです。つまり、「この人がうちのビジネスで成果を出せそうか?」という実践可能性のことです。

 例えば営業職の場合、次の4つの観点が親和性の判断軸になります。

1. カウンターパート(営業相手)
誰に対して営業を行っていたか(顧客業界や担当者の役職など)

2. 取扱商材(商品・サービス)
何を売っていたか(有形/無形、提案型か否かなど)

3. 新規・既存営業の割合
新規開拓と既存顧客フォローのバランス

4. 営業プロセス
営業活動のプロセスや範囲(リード獲得からクロージングまでの一連か部分的かなど)

 これらを踏まえて、求人広告営業からSaaSの法人営業(フィールドセールス)を目指すケースを見てみましょう。

 求人広告営業におけるカウンターパートとは、主に法人企業の人事担当者や採用担当者です。中小企業であれば、社長や役員自らが採用窓口となるケースもあるため、経営層との直接折衝を経験している方もいるでしょう。

 一方、SaaSのカウンターパートは、扱うプロダクトによってさまざまですが、例えば人事向けのSaaS(HR Tech)の場合は同じく人事・採用担当者が顧客になります。たとえ異なる領域のSaaSであっても、法人営業として担当者の課題を引き出し、提案する基本スタンスは共通しています。

 また、求人広告もSaaSも、形のないサービスを売る無形商材の営業という共通点があります。有形商品のように実物を見せて意思決定いただくのではなく、サービスの効果や利用後の成果をイメージさせる提案力が求められる点で共通しています。