よし子さんはすぐに50万円を振り込みましたが、その後業者とは連絡がつかなくなり、浩二さんに相談。浩二さんは「これは詐欺ではないか」と頭を抱えました。
浩二さんはよし子さんにこれ以上動かないようにと指示。那須町が土地の寄付を受け付けていると知り相談しましたが、利活用が難しいとの回答。そこで、浩二さん自身で地元の不動産に足を運び再度相談した結果、何とか処分できるめどが立ちました。
「負動産」のゆくえ
生前から売却に向けて努力を
こうした別荘地の事例は、決して特殊なケースではありません。地方の別荘地や、バブル期に開発されたリゾート地の土地は、今や多くが「負動産」と化しています。そこで、今後類似事例を抱えた場合にはどのように対処すべきか、虎ノ門法律経済事務所横須賀支店の中村賢史郎弁護士に聞きました。
なかむら・けんしろう/虎ノ門法律経済事務所横須賀支店長 弁護士・税理士・司法書士。大学在学中に司法書士試験に合格。虎ノ門法律経済事務所にて、相続事件のほか、離婚事件・不動産事件・破産事件を主に取り扱う。
◆◆◆
――想定外の不動産を相続することになった場合、どうすればいいのでしょうか。
中村:「負動産」は、とにかく早くからその全容調査と売却に向けて動くことが大切です。所有する親族が亡くなった後に発覚した不動産は、情報がないため処分について混迷を極めます。できるだけ所有者の生前に全ての不動産を把握して処分をすることが大切といえるでしょう。
具体的に取り組むこととして土地だけでなく、建物や田畑などもとりあえず面倒くさがらずに現地の複数の不動産会社に相談することがおすすめです。1社だけではなく、複数に相談することで売却相場がわかったり、悪質な業者を見極めることもできます。
――では、生前からどのような準備を進めておくとよいでしょうか。
中村:まず、このようなケースでは親の財産を「見える化」することが重要です。親の資産状況を把握していることが、「負動産」トラブルを未然に防ぐ第一歩となります。親が所有する預貯金、証券口座、そして別荘地や原野も生前からできるだけ親子でリストアップし、家族間でその情報を共有しておくことが重要です。







