『地経学とは何か 経済が武器化する時代の戦略思考』(鈴木一人、新潮選書)
日本の他に余剰電力で期待されているのが中東地域であり、ここにデータセンターを置くことを米中の間で競い合っています。第二次トランプ政権の最初の本格的な外遊がサウジアラビア、カタール、UAEだったことも偶然ではなく、中東地域における中国のAI分野での影響力を排除し、アメリカの影響力を維持することが目的でした。
また、レイテンシーを短縮するために、データセンターは消費地に近いところに置いた方が効率は高まります。世界各地の大都市の周辺には大規模なデータセンターが建設されていますが、日本では東京の周辺であれば千葉県印西市に集中しています。データセンターを集積させられる一定規模の土地がまだ日本の首都圏やその周辺にはあるのです。大量のデータを消費する場とデータセンターの距離が近いということも、日本の強みの一つだと言えるでしょう。
ただ、将来的には、地震や台風などの自然災害のリスクもあるため、一極集中ではなく様々な地域に分散していく必要があるのですが、現時点では東京から近いという点から印西市に集中している状況です。







