大事なのは、「怒りの感情」と「怒りの表現」は別モノだということです。

 たとえば、部下が頼んでおいた仕事をしなかったとしましょう。「まだできてないのか?」なんて怒りの感情が湧くまではいいのです。

 でも、「まだできてないの!いったい何をしていたの」なんて職場でキレたら大問題です。その怒りの表現は、ちょっとまずいのです。

 こういう場合、「立ち止まること」が大切です。

怒りを相手にぶつける前に
立ち止まって考えよう

 自分なりに「いったん立ち止まる方法」をいくつかもっておくと便利かもしれません。「立ち止まる方法」には、次のようなものがあります。

・イラッとしたら6秒数える
・カーッとなったら水を飲む
・「ゆるゆる」「まあまあ」など、怒りを感じたときに心で言う言葉を決めておく
・カチンときたら、心をしずめるためにその場から立ち去る

 などです。

 もちろんこれ以外にも、カーッときた自分が立ち止まる方法があるなら、なんでもいいと思います。

 立ち止まると、自分の状況をもう少し落ち着いて認知することができます。

 落ち着いたら、「自分がなぜ怒りを感じているのか」、その理由を考えることもできます。

・終わらせてあるはずだと思ったから、ショックだった
・納期までに仕事が終わらないと困る
・部下に仕事をスルーされてナメられてる気がする

 このような感じで、自分の中にあるさまざまな気持ちに気づくことができると思います。

 自分の気持ちをある程度整理したら、そこから「どう表現するか」を考えるといいのではないでしょうか。

 たとえば、部下に「仕事が終わってないのがショックでした。今からやったら、いつ終わると思いますか?」と落ち着いて伝えることができます。

 あるいは、「仕事が終わっていないのは本当に困る……。明日12時の取引先への提出が絶対だから、○○さんにも手伝ってって頼んでもらえるかな」と提案することもできます。