令和とは大違い!「明治時代の人間関係」が濃密すぎて、現代人には違和感だらけ〈ばけばけ第56回〉

レッツゴーツーエクソシズム

 家のなかまで錦織らしき声が聞こえていたという。安普請のリアリティ。

「妙な組み合わせ」とトキが錦織と勘右衛門とタツを見て笑う。やっぱりしっかり話したのは初めてだった3人。やっぱりリヨのデリケートな話を待っている間にしてしまう錦織も口が軽すぎる。

 錦織はトキを待ち伏せし、ヘブンと距離をとらせてもらっているのだと伝えたかったのだ。

 錦織もトキと同じく「通りすがりの人間」ということを気に病んでいた。

「半年以上の付き合いは一体何だったんだろうと」

 一生懸命、尽くしたのに、通りすがり扱いされて、がっかりの錦織。半年でそんなに? 随分と人間関係が濃密なのだなと感じる。これが明治時代の日本人なのか。武士の時代の殿様と家来のような関係性であろうか。

 錦織の言動から、トキのモヤモヤの意味もわかるような気がする。ほのかな恋愛感情かと想像もできるし、錦織のような尽くすときは徹底的に尽くす、絶対的な絆のようなものを人に見いだしてしまいがちなのかもしれない。

 現代人のほうがおそらくこの感覚は希薄だろうから、不思議に感じてしまう視聴者も少なくないのではないだろうか。

 錦織は深刻だが、トキはこれ幸いと、「お祓いってどげな風に説明したらええんでしょうか?」と聞く。

 これで錦織が一緒に説明に来るのかと思いきや、彼の決意は固く、顔を出さない。お祓いの説明を英
訳したメモをトキに託したのみだった。

 レッツゴウ ツ エクソシズム
 Let's go to exorcism.
 お祓ひに、行きませう

 エクソシズム イズ ジャパニーズセレモニー アト
 テンプル ツ リムーブ ゴースト ザット ポツセシング 
 お祓ひとは、憑りついた霊を、寺で取り除いてもらふ、日本の儀式です。

 錦織のメモで理解できたヘブン。お祓いに「行く、しましょう」とナットクする。

 勘のいいヘブンは英語を書いたのは錦織かと聞くが、トキは「誰でしたか?」ととぼける。英訳を手伝ったとすら明かしたくないほど錦織の気持ちは屈折しているようだ。