いよいよヘブンが怪談を聞くときが来た

 夜、トキが帰宅すると、借金取りの銭太郎(前原瑞樹)がまた来ている。

「きっちり払いくさりやがって だらくそが」
「お前はだらくそしか言えんのか?」
「言えるわ だらくそが」

 いつものいがみあいが続く。

 フミ(池脇千鶴)が話題を変えて、トキがお祓いの相談をしているところで、銭太郎が邪魔をしたことがわかる。

「お祓いってあれか」と司之助(岡部たかし)がボケようとするが思いつかず、「入ってこないで何も言うことないなら」とトキに冷たくあしらわれる。

 アバンのヘブンのお祓いボケと繋がっているのだ。短いシーンを分断させない工夫だと思う。こういうのを、お笑いのプロで、審査員なんかもやっている、博多大吉(朝ドラ直後に放送される「あさイチ」のキャスター)はどう見るのだろうと、笑いのシーンが朝ドラに出るたび気になる。褒めるにしても批評するにしても、たぶん、あんまりジャッジモードにできないし、視聴者目線にしなくちゃと気を使うのではないだろうか。

 閑話休題。

 出雲の神官の娘であるフミに相談して、フミがお祓いする流れになるのか、と思ったら、そうではなかった。

「寺に行きなさい。幽霊の類は」と、ここで銭太郎がここにいる意味が? 寺に知り合いがいて紹介してくれるのかと思ったら、そうではなかった。

「坊主はわしには金借りんけん」

 じゃあなんでいたのだろう、銭太郎は。

 なんの役にも立たない人ばかりで、時間が過ぎていく。なかなかすごい展開である。

 あ、気がついた。ここでも「(借金を)払う」と「祓う」になっていた。

 お寺を紹介してくれたのは、唐突にヘブンの教え子のひとり正木清一(日高由起刀)だった。

 住職(伊武雅刀)のお祓いに、トキはウッキウキ。すぐ顔に出ることを、蛇と蛙に指摘される。

 ヘブンも「お祓いおもしろい」と顔も晴れやかになった。

 喜ぶヘブンに住職が、この寺に伝わる怪談を話そうとすると「え!」とトキが素っ頓狂な声を出す。ヘブンよりトキがそわそわ。

 来た来た来た、いよいよヘブンと日本の怪談(英語でいうとゴーストストーリー)が出会う時だ。

 第12週のサブタイトルは「カイダン、ネガイマス。」(演出:泉並敬眞)。

令和とは大違い!「明治時代の人間関係」が濃密すぎて、現代人には違和感だらけ〈ばけばけ第56回〉
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