技術的には可能だが
膨大な時間が必要な地震予報
大規模な地震が起こるのはプレート境界と活断層です。プレート境界はそれほど多くないので、それぞれの場所にセンサーを張り巡らせて地震の前兆をとらえることによって、直前の予報ができるようになると思います。
活断層に関しては近々地震の起こる可能性のある活断層だけを選んで、その場所で集中的に前兆をとらえるためのセンサーを張り巡らせていれば直前の予報も可能になるのではないでしょうか。
活火山の予報では、すでにそのようなことが行われています。活断層についても同じようにやるといいと思います。
地震の中期予報ができると、まず発生が近い将来に迫っている活断層を目標としていよいよ地震発生という前兆信号をつかまえることに専念すればいいことになります。
役に立ちそうなあらゆる物理的、あるいは化学的手法をすべて投入して、地震が発生しそうな活断層の周りに観測ネットワークを構築し、常時監視しながら分析する研究者と技術者を現地に配置しておくことが重要です。
こうすることによって、最初は失敗していても次第に精度が上がって予報ができるようになるでしょう。
天気予報を例にしてみると、毎年たくさんやってくる台風について、さまざまなデータを100年以上にわたって記録してきた結果、次第に進路予報が出せるようになりました。それでもはずれることがあります。
大地震は頻繁には起こらないので、経験を積むのにははるかに長い時間が必要ですが、それを始めなければいつまでもできないままになってしまいます。時間がかかることは覚悟しなければなりません。
なるべく早く予報ができるようになるために、今すぐ観測を始めなければならないということへの理解が必要です。
地震専門省庁が設立されると
速報の信頼性も高まる
1995年兵庫県南部地震の後、日本学術会議には阪神・淡路大震災調査特別委員会が臨時に設置され、1997年にその報告書が公表されました。
報告書では全国に強震計を配置することなどが提案され、一部はすでに実現しており、大きな効果を生み出しています。







