活断層に関係する提案では、「活断層法」を制定して、公共の構造物などが活断層の上をまたがないようにする、また活断層の上はできるだけ公園のような建物のない広場などにするということがありましたが、一部の自治体などでは条例ができただけに終わっています。

 さらに、地震を専門に扱う役所を一元化して設置することも、地震庁の設置という形で提案されましたが実現はしていません。地震調査研究推進本部などの委員会的な組織はできていますが、専門の省庁はまだありません。

 その後、関西では経済界の支援で行われた関西サイエンス・フォーラムで議論されて、政府向けの提言書がまとめられています。

 また、それを理解してもらうために、京都芸術大学の学生たちによって地震火山庁の役目を説明するアニメーションが公開されています。

 地震火山予報士の制度化というのは、地震発生の予報や、火山の噴火の予報を担当する専門家を法的に定めようというものです。

 それによって嘘の情報を売るような不適切な行為を禁止することと、専門の予報士の発言に関しては、はずれた予報に関して責任を問われないという保証をすることが目的です。研究者の発言の信頼度を高めることにもつながり、発言を促すことにも貢献します。

 現在までに得られている知識でも十分皆さんに説明できる内容があります。正しく地震の仕組みを知って、正しく恐れることが大切です。

気象情報に比べて
ゆるすぎる地震予報の規制

 気象情報は現在、気象予報士だけが公表することができます。他の人が勝手に予報を出すことは禁止されています。地震予報に関しては法律がないので、公的な組織が偽の地震予報を情報伝達網にのせて収入を得るということさえ公然と行われています。

 また、多くの人が嘘の宣伝に騙されて偽の有料地震予知情報を購入している現象が後を絶ちません。

 さらにSNSが便利な社会になって、予言者などが発信する流言がますます増えています。

 社会学者である廣井脩さんの『流言とデマの社会学』(文春新書)によると、流言には5つの本質的特徴があります。

 人から人へと伝えられること、秘密の色彩を帯びて密かにささやかれること、事実の確証なしに語られること、情報内容がしだいにゆがめられ、もとの内容とまったく異なる場合が多いこと、伝える人々の感情(悪意や好奇心、恐怖、不安、敵意など)と深く関わることの5つです。