流言が伝わりやすい理由の1つには、確かめるために他の人に聞くという行動で広まる仕組みがあります。自分で公共機関の情報により噂の内容を確かめ、伝えてきた人に対して間違っていると返してあげることが重要です。
地震注意報の確度アップと
デマを広めない2軸の取り組み
史上最悪と言われる大正関東地震の後の流言の反省から生まれた日本のラジオ放送が、2025年3月に100周年を迎えました。メディアの誤情報対策、偽情報対策が進むことが期待されます。
そのメディアに載せる情報を生み出すのが公的機関です。例えば気象庁は、日本近海で起こる地震に関して、約10万の震源断層を想定して津波が起こったときの状況を計算し、データベースに保存しています。
地震発生直後にそれを呼び出して、津波警報や注意報を発表します。地震が起きて3分後に発表するという目標に合わせた仕組みです。
しかし流言はもっと速く伝わることがあります。それを消す仕組みを作ることも今後の大きな課題の1つです。
地震や噴火の予報を出すのは、実用化するまで、地域で観測と研究を続けている研究所の役目です。経験を積むほどに上手く予報が出せるようになります。それを統括するのが政府の地震火山庁であるというのが理想です。
活火山ではすでにいくつか実現していますから、活断層についても実現の可能性があると思います。
そのために、例えば『神戸と地震』という報告書が広く知られていて神戸市の地震対策がしっかりできていたら、どれだけの経済効果があったかというような、社会科学的な研究が行われる必要があると思います。
『活断層のリアル 京大元総長が語る入門講義』(尾池和夫、PHP研究所)
ここでは予報という言葉を使いました。予測という方がいいかもしれませんが、将来実際に予測の内容が公表されることを想定して予報としました。
もちろん予報だけでは災害を防ぐことはできません。長期予報をもとに被害想定を行い、それを防ぐための準備をしておくこと、短期予報ではあらかじめ訓練していたことを実行することが必要です。
予測、予報、想定、対策、訓練、実行という言葉のそれぞれの意味を、もう一度確認しておいてほしいと思います。







