ドナルド・トランプ米大統領は、型破りな取引によって米中の「技術冷戦」を瞬時に新たな形にした。批判派が懸念するのは、トランプ氏が中国の追い上げを手助けしてしまったことだ。トランプ氏は米半導体大手エヌビディアに人工知能(AI)半導体「H200」の対中輸出を認めることで、同社が求めていた巨大市場を与えた。しかし同時に、中国のAI産業に対し、自力では製造できなかったものを提供した。それは米国に対抗するために必要な最先端半導体だ。8日まで、こうした半導体を巡って政治的な議論が渦巻いていた。国家安全保障派は、中国の軍事兵器の開発、そしていずれは人間をしのぐ高度なAIシステムの開発を阻止するため、輸出を差し控えるべきだと主張した。