鈴木憲和農林水産相 Photo:JIJI
「おこめ券か、現金か」で世論が割れています。高市首相が打ち出した物価高対策に対し、大阪・交野市長が「うちはおこめ券を配らない」と反旗を翻したことで、議論は一気にヒートアップ。一見、自由度の高い水道代減免などが合理的ですが、実は「おこめ券」を選ぶことでしか守れない“ある切実な事情”が自治体側には存在しました。国民の家計だけでなく、日本の○○まで救う、意外な「裏の目的」とは?(百年コンサルティングチーフエコノミスト 鈴木貴博)
バトルになっていない…
おこめ券論争の状況整理
自治体が「おこめ券」を選ぶべきか、それとも選ぶべきではないのかが国民レベルの関心事になっています。
論点となっているのは、高市内閣が経済対策として閣議決定した重点支援地方交付金2兆円のうち、食料品価格高騰対策のための特別枠4000億円の使途についてです。本来は各自治体が自由に物価対策として使えばいい制度です。
政府も現在では公式にそのように述べています。ただファクトを整理すると11月にこの政策が打ち出された当初は、記者会見で高市首相も鈴木農水相も「国民ひとりあたり3000円程度」の対策の具体的な手段として「おこめ券」を推進する発言をされていたことが、新聞各紙の紙面からも農水省HPの大臣記者会見からも確認できます。
この「空気」を受けて、大阪維新の会に所属していて、現在は無所属の大阪・交野市の山本景市長が「市民のためにおこめ券を配るということはいたしません」とX(旧ツイッター)上で反対意見を表明したことで、この議論は政府が意図しないかたちで国民レベルに拡散することになりました。
このバトル、政府は「おこめ券だけを推奨しているわけではない」「自由に選べばいい」という主張ですし、交野市長は「うちでは他のものを選ぶ」と主張しているだけなので、普通に考えると戦いは成立していません。
しかし、国民にとってはこの話は興味津々なのです。その理由とそれぞれの自治体の思惑について、まとめてみたいと思います。







