こうして、「2カ月に一度徴収される水道料金がひとりあたり3000円分安くなった」とすると、当然ですがその月の家計はその分助かります。家族の人数が多い家計では一回の水道料金で還元しきれないと思いますが、5人家族なら数カ月かけて1万5000円家計が助かる計算です。物価高対策として成立しています。
その手元に残った3000円でコメを買いたい世帯はコメを買えばいいし、パンを買いたい世帯はパンを買えばいい。きわめて合理的な考え方です。
いずれにしてもこのやり方だと商品券を配るよりも迅速に市民に交付金が還元されますし、水道料金という目に見える出費が減るわけですから、その恩恵も実感をもって受けられそうです。
交野市長の意見表明を受けて、続々と「おこめ券を選ばない自治体」が名乗りを上げています。福岡市、静岡市、東京の中野区などの顔ぶれです。これがどういうメンバーなのかはあとでまとめます。
一方で、名乗りは上げないけれども「おこめ券を選ぶ」自治体は相当数に上りそうです。
政府・自治体のホンネ
おこめ券で「守りたいモノ」
当初おこめ券という言葉だけが先に広まったのですが、現在の政府の推奨手段としてはおこめ券とプレミアム商品券、地域ポイント、食料品の現物給付が並列して挙げられています。
自治体が選べるたてつけなのですが、そのうえで高市内閣の有力閣僚が口にしたおこめ券を選ばないという選択は自治体首長は普通ならばとりにくいはずです。というのも、地方自治体の財政は国からの交付金でまかなわれています。もし波風を立てればどこでどのような意趣返しをされるかわかりません。ふるさと納税で政府にたてついた泉佐野市が意地悪されているのを、首長たちは皆見ているのです。
その「空気」の中で、積極的に「おこめ券を選ぶ」理由をもつ自治体も少なくありません。それはコメの生産地です。そしてそこには別の深い事情が存在します。







