元フィデリティ投信の投資調査部長を務めた著者であるポール・サイさんが「S&P500」の3倍超という驚異的なリターンを生んだ米国株の投資術を初公開! ポール・サイさんが株価低迷期にエヌビディアを買い、成長を見抜けたのは、企業に潜む“成長のストーリー”を見抜いたから。初の著書『台湾系アメリカ人が教える 米国株で一生安心のお金をつくる方法!』では、そんな、成長ストーリーの読み解き方から、銘柄選びの極意、買いのタイミング、暴落時の対処法、リスク管理までを体系的に解説。さらに、厳選した“10倍株”候補の8銘柄も特別公開! 新NISAで投資を始めた人、日本株から米国株へとステップアップしたい人に最適な、“米国株で勝つための決定版”だ。今回は、その『台湾系アメリカ人が教える 米国株で一生安心のお金をつくる方法!』から、米国では高収入ではないのにFIREしている人が多い理由について抜粋し解説する。
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普通の人で米国ではFIREを達成している人が多い!
アメリカで私の周りにいる知人たちを見ていると、特に高収入というわけでもないのに上手く資産形成をしていたり、さらにはFIREを達成していたりする人たちが少なくありません。その一方で、かなりの高収入であっても、資産形成が思うように進んでいない人もいます。もちろん、他人の家計の細部まで把握できるわけではありませんから、これは私の推測にすぎません。ただ、その違いを生んでいるのは、一言で言えば、「投資をしているか、していないか」だと私は考えます。
もう少し詳しく言えば、投機的な取引ではなく、適切な投資対象を選び、適切なリスクをとったうえで株式の長期投資をしているかどうか、という点です。これは、とても大事なことです。
私が本書の中で述べている米国株を中心とした株式投資法は、特別な知識がなくても取り組める方法だと思います。ただ、より正確に言えば、誰でもできる方法ではあるけれども、誰もが最後までやり遂げられるとは限らない、と言った方がよいかもしれません。
投資はダイエットと同じ! 継続さえできれば資産は増える
このことはダイエットにたとえるとわかりやすいでしょう。適度な運動をし、ヘルシーな食べ物を適度に食べ続けていく――こうすれば、ダイエットが成功し、理想的な体形が手に入ることは誰もが知っています。けれど、実際にはわかっていても続けられず、途中で挫折してしまう人が大勢いるのがダイエットです。
ここまで述べてきたように、資産形成を進め、さらにFIREを実現するには、一定の節約を行い、余剰資金を投資に回すことが不可欠です。
ただ、普段そうしていても、時に誘惑に負けて散財してしまうことがあるでしょう。また、株式市場は時折暴落に見舞われます。それを避けるのは容易ではありません。暴落で資産が急速に減っていくのを目の当たりにし、狼狽して、本来売るべきでない安値局面で株を手放してしまうこともあるかもしれません。
このように、「やり方は知っていても、やり抜くのは容易ではない」という側面が資産形成にはあり、それはダイエットと似ていると思います。そして、もうすでに中年に差し掛かっていて、投資をするにも「時間がない」と感じる人にこそ、ダイエットと同じで「始めるなら今が一番良い」ということを伝えたいです。その際、時間がないからといって無理をしたり、過度なリスクを取ったりすると、結局は失敗する確率が高くなるだけです。
日本人投資家は投資に有利な立場にいる!
日本人投資家はもともと有利な立場にいるのではないか、と私は考えているのですが、その理由についてお話ししましょう。これは日本とアメリカの両方に住み、現在もアメリカに住みながら、時折日本を訪れている私自身が実感していることです。
近年の日本ではインフレが進んでいることが話題になっていますが、それ以前は長らくデフレや低インフレの時代が続きました。一方、アメリカはほとんどの時期で日本よりインフレ率が高く、その蓄積の差の大きさにより、日米の物価を比較すると、まだまだアメリカの方がかなり高いと感じます。
低コストで暮らしやすい日本に住み、成長力のある米国株へ投資する
逆に言えば、日本はアメリカなどに比べ、まだ低コストで生活できるということです。さらに、日本はアメリカほど厳しい競争社会ではありません。緩やかに穏やかに生きていける余地が大きいと感じます。私は子どもの教育など、いくつかの事情からFIRE後はアメリカに住むことを選びましたが、日本はとても住みやすい国だと思っています。
一方、アメリカは弱肉強食、生き馬の目を抜くような競争社会です。正直、ギスギスした面もあり、日本ほど暮らしやすくはないかもしれません。ただし、本書で述べてきた通り、競争社会であることは、企業の成長を促す原動力となり、イノベーションを生み出しやすい土壌にもなります。これは企業の株主にとっては望ましい点といえるでしょう
以上を踏まえると、「低コストで穏やかに暮らしやすい日本に住みながら、成長力のある米国株へ投資する」、というのは非常に理にかなった方法だと私は考えます。「日本人投資家はそもそも有利な立場にいるのではないか」
その意味するところはここにあります。日本の投資家のみなさん、有利な立場を最大限に活かし、成長力のある米国株へ投資して、大きく資産を増やしましょう。
※本稿は『台湾系アメリカ人が教える 米国株で一生安心のお金をつくる方法!』(ダイヤモンド社)より一部を抜粋・編集したものです。






