会社を伸ばす社長、ダメにする社長、そのわずかな違いとは何か? 中小企業の経営者から厚い信頼を集める人気コンサルタント小宮一慶氏の最新刊[増補改訂版]経営書の教科書』(ダイヤモンド社)は、その30年の経験から「成功する経営者・リーダーになるための考え方と行動」についてまとめた経営論の集大成となる本です。本連載では同書から抜粋して、経営者としての実力を高めるための「正しい努力」や「正しい信念」とは何かについて、お伝えしていきます。

経営者に必須の「正しい信念」は、どうすれば身につくのか?Photo: Adobe Stock

良い本を繰り返し読む

「正しい信念」は、一朝一夕には身に付きません。勉強あるのみです。

 具体的には、何をすればいいのでしょうか?

 私は、長く読み継がれている本や多くの人が「良い本だ」と認める本を何度も読むことをお薦めします。

 それを一冊、二冊と何冊も積み重ねていくことが大切です。

 ここで何から読み始めて良いか分からないという方のために、いくつか紹介しておきましょう。

松下幸之助さんの本を繰り返し読む

 私がいつも薦めるのは、松下幸之助さんの『道をひらく』(PHP研究所)です。私は30年以上読み続けています。

 自宅の勉強机の上に置いてあり、寝る前に数項目必ず読みます。見開き2ページで1項目が読めるので読みやすく、何度読んでも新鮮で、自分のブレをただすのにとても役立っています。

 稲盛和夫さんの『生き方』(サンマーク出版)も、とても良い本です。

 その他にも、良い本は沢山あります。

 渋沢栄一翁の『論語と算盤』(角川ソフィア文庫)や安岡正篤先生の書かれた『論語の活学』(プレジデント社)などもお薦めです。もっと詳しく知りたい方は、拙著『ビジネスマンのための「読書力」養成講座』ディスカヴァー携書を参考にしてください。

 ひとつ申し上げたいのは、私がお薦めする本が、皆さんそれぞれにぴったり合うかどうかは分からないということですり。大切なのは、自分に合う本を見つけることです。

 ただし、繰り返しになりますが、長く読み継がれた評価の高い本であることが重要です。

 結果的に長く繁栄している会社、長く尊敬されている人というのは、正しい思想、正しい信念を持っています

「正しい」というキーワードが大切なのです。

 信念はもちろん、それが「正しい」ものでないと、うまくいきません。

(本稿は[増補改訂版]経営者の教科書 成功するリーダーになるための考え方と行動の一部を抜粋・編集したものです)

小宮一慶(こみや・かずよし)
株式会社小宮コンサルタンツ代表取締役会長CEO
10数社の非常勤取締役や監査役、顧問も務める。
1957年大阪府堺市生まれ。京都大学法学部を卒業し、東京銀行(現三菱UFJ銀行)に入行。在職中の84年から2年間、米ダートマス大学タック経営大学院に留学し、MBA取得。帰国後、同行で経営戦略情報システムやM&Aに携わったのち、91年、岡本アソシエイツ取締役に転じ、国際コンサルティングにあたる。その間の93年初夏には、カンボジアPKOに国際選挙監視員として参加。
94年5月からは日本福祉サービス(現セントケア・ホールディング)企画部長として在宅介護の問題に取り組む。96年に小宮コンサルタンツを設立し、現在に至る。2014年より、名古屋大学客員教授。
著書に『社長の教科書』『経営者の教科書』『社長の成功習慣』(以上、ダイヤモンド社)、『どんな時代もサバイバルする会社の「社長力」養成講座』『ビジネスマンのための「数字力」養成講座』『ビジネスマンのための「読書力」養成講座』(以上、ディスカヴァー・トゥエンティワン)、『「1秒!」で財務諸表を読む方法』『図解キャッシュフロー経営』(以上、東洋経済新報社)、『図解「ROEって何?」という人のための経営指標の教科書』『図解「PERって何?」という人のための投資指標の教科書』(以上、PHP研究所)等がある。著書は160冊以上。累計発行部数約405万部。