ただ内外装はガラリと変わりそうだ。80000形のデザイン担当は、「VSE」「MSE」「GSE」の3代にわたって手がけた岡部氏から、COA一級建築士事務所の長曽我部亮氏と岡野道子氏に交代する。小田急は、車両イメージは従来車からかなり変わるだろうと期待を込めて語る。

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 80000形は「VSE」の後継であると同時に「EXE」の代替でもある。「EXE」は1996年から1999年にかけて14編成70両が製造され、うち10編成50両が「EXEα」にリニューアルされた。残る4編成20両が置き換え対象となる。

「EXE」は定員が多い上、4両、6両、10両(6両+4両)の運転が可能で、新宿〜相模大野間で「はこね」と「えのしま」が併結する列車も運行されている。観光要素の強い80000形でマルチに使用できる「EXE」を置き換える格好だが、小田急は、80000形の役割は観光特急、通勤特急のどちらかに限定せず、さまざまなシーンに対応できる車両との位置付けと説明する。

 とはいえ、展望席を備える以上、主戦場は観光と見てよいだろう。車両概要に記載の「用途や気分により選択ができる複数の座席種別」について小田急に聞くと、詳細は未定としながらも、グループ旅行など観光ニーズへの対応を念頭に置いているという。

 コロナ禍以降、元気がなかったロマンスカーは、再び羽ばたくことができるのか。小田急の箱根戦略に注目したい。