JR中央線が「当面は無料」のグリーン車導入、本格開始で「新たな問題」の可能性もPhoto:PIXTA

JR東日本は9月10日、中央線快速・青梅線における普通列車グリーン車のサービスを2025年春に開始すると発表した。オレンジ色の電車(E233系)で運行される中央快速線東京~大月間の全列車と、中央快速線に直通する青梅線の全列車に2階建てグリーン車を2両ずつ増結し、中央快速線は10両編成から12両編成となる。2度の延期の後、導入されるグリーン車は果たして普及するのか。そして、新たに生じかねない問題とは。(鉄道ジャーナリスト 枝久保達也)

当面のお試し期間は
グリーン料金が不要に

 JR東日本は9月10日、中央線快速・青梅線における普通列車グリーン車のサービスを2025年春に開始すると発表した。オレンジ色の電車(E233系)で運行される中央快速線東京~大月間の全列車と、中央快速線に直通する青梅線の全列車に2階建てグリーン車を2両ずつ増結し、中央快速線は10両編成から12両編成となる。

 グリーン車を連結した12両編成の電車は10月13日以降お目見えし、当面は10両編成と12両編成が混在する。グリーン車はサービスの開始まで「グリーン車お試し期間」としてグリーン料金不要の普通車扱いで運行する。

 JR東日本が中央線へのグリーン車導入を発表したのは2015年2月のことだ。同社は2004年に宇都宮線、高崎線、2007年に常磐線にグリーン車を導入しているが、この時は10両編成から普通車2両を抜き取ってグリーン車に置き換えた。しかし首都圏屈指の混雑路線である中央線の普通車は減らせないので、これまでの路線とは異なり2両を増結する形となった。

大規模な改修などにより
サービス開始に遅れ

 JR東日本の仕掛ける大規模施策は長い時間をかけて水面下で検討を重ねたものが多いが、1999年から2014年にかけて高架化した三鷹~立川間のホームの多くが10両編成までしか対応していなかったことから見ると、中央線のグリーン車は直前に計画されたものだったようだ。

 当初は2020年度のサービス開始を目標としていたが、グリーン車運行区間の全44駅と車両基地でホームや留置線の延伸や、ポイント・信号の移設など大規模な改修が必要であり、他の工事との調整に想定以上の時間がかかることが判明した。