たった100日で散った夢…奇跡の復活を遂げたナポレオンを待っていた「残酷な結末」
【悩んだら歴史に相談せよ】好評を博した『リーダーは日本史に学べ』(ダイヤモンド社)の著者で、歴史に精通した経営コンサルタントが、今度は舞台を世界へと広げた。新刊『リーダーは世界史に学べ』(ダイヤモンド社)では、チャーチル、ナポレオン、ガンディー、孔明、ダ・ヴィンチなど、世界史に名を刻む35人の言葉を手がかりに、現代のビジネスリーダーが身につけるべき「決断力」「洞察力」「育成力」「人間力」「健康力」と5つの力を磨く方法を解説。監修は、世界史研究の第一人者である東京大学・羽田 正名誉教授。最新の「グローバル・ヒストリー」の視点を踏まえ、従来の枠にとらわれないリーダー像を提示する。どのエピソードも数分で読める構成ながら、「正論が通じない相手への対応法」「部下の才能を見抜き、育てる術」「孤立したときに持つべき覚悟」など、現場で直面する課題に直結する解決策が満載。まるで歴史上の偉人たちが直接語りかけてくるかのような実用性と説得力にあふれた“リーダーのための知恵の宝庫”だ。
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絶頂から「百日天下」
そして孤島での死へ
奇跡の復活――不死鳥のごときパリ凱旋
ナポレオンは1815年、エルバ島を脱出しフランス本土に帰還しました。
かつての部下たちは彼を裏切らず、再びパリへ凱旋。一度は復位したブルボン家出身のフランス王ルイ18世を追放し、皇帝に返り咲きます。
儚き「百日天下」――ワーテルローに散った野望
ところが、ナポレオンの復権はヨーロッパ諸国にとって許されざる事態でした。連合軍は即座に行動を起こし、同年6月、「ワーテルローの戦い」が勃発。ここでナポレオンは、英軍ウェリントン将軍らによって決定的な敗北を喫します。
これにより、ナポレオンは再び退位を余儀なくされました。前回のような“恩赦”はなく、今度は大西洋の孤島・セントヘレナ島に流され、帰還の望みは完全に断たれます。ナポレオンの復権から退位までわずか100日程度であったため、「百日天下」と呼ばれています。
絶海の孤島に消ゆ――「過信」が招いた孤独な幕切れ
この地でナポレオンは、孤独な監視生活を送りながら、1821年、生涯を終えることになります。かつて世界を震撼させた英雄の死は、やがて伝説として語り継がれました。
しかし、その晩年に刻まれたのは、過信・強硬・孤立という言葉でした。ナポレオンの最期は、どんなにカリスマ性と力を持ったリーダーでも、周囲の声に耳を傾けず、現実を直視しなくなったときにどうなるかを、私たちに教えてくれます。
【解説】再起を可能にする「信頼残高」の力
エルバ島からの脱出時、ナポレオンがたった一人で兵を動かし、無血でパリへ凱旋できた事実は、ビジネスにおける「人望(信頼残高)」こそが最大の資産であることを証明しています。
事業が破綻しても、プロジェクトが頓挫しても、リーダー個人への信頼さえ残っていれば、人は再び集まり、チャンスは巡ってきます。「何を成したか」以上に「どう振る舞ったか」が、敗者復活の鍵を握るのです。
競合は常に「学習」している
しかし、ワーテルローでの敗北は、競合他社(連合軍)の「アップデート」を見誤った結果でした。ライバルたちはナポレオンの戦術を徹底的に研究し、対策(連携強化)を済ませていました。
かつての必勝パターン(過去のビジネスモデル)をそのまま持ち込んだナポレオンに対し、市場環境はすでに彼を追い越していたのです。「変わらない強さ」など存在しません。
「引き際」をデザインする勇気
セントヘレナ島での孤独な最期は、私たちに「出口戦略(エグジット)」の重要性を問いかけています。創業者がいつまでも現場にしがみつき、権限委譲のタイミングを逃せば、組織はトップと心中することになります。
自らが作り上げた組織が、自分の存在なしでも回る仕組み(サクセッションプラン)を作ること。それこそが、リーダーが最後に果たすべき「最大の仕事」だったのかもしれません。
※本稿は『リーダーは世界史に学べ』(ダイヤモンド社)より一部を抜粋・編集したものです。















