“モータースポーツを通じたいいクルマづくり”を実践
25式エアロパフォーマンスパッケージは意のままに走る

 インプレッションを報告しよう。最初に乗った20式GRヤリスMT車は、これで十分速いと思った。スタートから踏んでいくとどんどんストレスなく加速する。ヘアピン手前のハードなブレーキングでは少々挙動が乱れるが、アクセルとステアリング操作でなんとか持ちこたえ次に進む。その後の高速コーナーは舵角一定でキレイにラインをトレースするのが気持ちいい。なかなかいい感じだ。

 だが、25式GRヤリスMT車に乗り換えると、違いは明らかだった。最高出力とトルクの違いは20式の272ps/370Nmに対し、25式は304ps/400Nm。全般的にパワフルになっているのはもちろん、細かいアクセル操作に対するピックアップのよさと回転上昇にリニアに反応する加速は数字以上。マックスパワーを出すまでのプロセスの違いを感じる。なので、20式の感覚でコーナーに入っていくとオーバースピードになる。それでも車体は安定しているので驚きはするが恐怖はない。ステアリングとアクセル操作に集中すれば、うまい具合にクリッピングポイントからアクセルを踏みにいけるから楽しい。結果、コーナリングスピードは明らかに上昇している。タイム計測をすると25式に軍配が上がるのは間違いない。ストレートの伸びをみても自然と進入速度は速くなっているはずだ。

 3台目の2ペダルモデル、DATは個人的にすごいと思った。とくにDレンジでの変速が印象的で、アクセルとブレーキ操作に合わせて的確なギアを選択してくれる。コーナー手前で強めにブレーキを踏むと4速から2度のブリッピングをしながら2速へ落ちてくれるのには感激だ。スーパーカー系では珍しくないが、GRヤリスのカテゴリーでこれだけ精緻な動きをするギアボックスはあまり記憶がない。

 パドルシフトを使った動きも悪くない。とくに加速時にはほしいだけエンジン回転数を上げられるので気持ちがいい。この辺の感覚はコンマ何秒の差で好みがあるから大切だ。ただ、シフトダウンに関してはギアを守るための制御が働く。なので、MT車と違って攻めきれない場面があった。この辺はセンサー類で状況を読んでブレーキシリンダーの圧力を高めるなどしてシフトダウンの幅を広げてはどうだろう。次なる進化に期待したいところである。