エアロパーツがサーキットにおいて、
どれだけ重要な役割をするか

 最後に今回の目玉GRヤリスDAT車のエアロパフォーマンスパッケージを味見した。やはりその走りのパフォーマンスは抜群。この日のラスボスといったところで、最後に美味しいところを持っていったという印象だ。具体的にいうなら、25式のステージをさらに高めている。サーキットで走らせるクルマの挙動をすべての領域で安定させたのだ。ストレートはもちろん、あらゆるコーナーの入り口から出口までクルマが路面に張り付いたように動く。それが大きくわかるのはタイトコーナー入り口で、フロントリップスポイラーが前輪操舵を確実なものにし意のままに回頭する。鼻先が鋭角に入っていくさまは、まさにその効果だ。フォーミュラマシンがヘアピンでクイッと向きをかえるようなイメージとなる。

 エアロパフォーマンスパッケージについて説明すると、このフロントリップスポイラーの他に5つのパーツが装着される。ダクト付きアルミフード、フェンダーダクト、燃料タンクアンダーカバー、可変式リアウィング、リアバンパーダクトだ。資料ではコーナリングスピードが20km/h上がり、富士スピードウェイで約1秒ラップタイム短縮を実現したと記載してある。エアロパーツがサーキットにおいて、どれだけ重要な役割をするかがわかる。というか、今回はそれの「ある無し」を比べられたことで、違いをリアルに体感できた。

 以上が25式GRヤリスをサーキットで走らせた印象だ。ボディを堅牢にし足を動かすことで奥行きのあるクルマに仕上がっている。ダンパーの減衰圧とバネレート、さらにはパワーステアリングまで新しくセッティングし直した。ベースなった24式をさらに煮詰めたといったところだろう。そして、本気でサーキット走行するならエアロパフォーマンスパッケージをお勧めする。挙動が安定することでこれまで厳しかったコーナーがイージーに思えるかもしれない。その意味でもこのクルマは目的がハッキリしている。

(CAR and DRIVER編集部 報告/九島辰也 写真/横田康志朗)

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