「奥さん?恋人?」→ヘブンの返事が…シャーロット・ケイト・フォックス(イライザ)の顔が雄弁〈ばけばけ第63回〉

同僚? 大切な人と言ってほしい

 一方、ヘブン(トミー・バストウ)は花田旅館にイライザ(シャーロット・ケイト・フォックス)を連れて来ている。

「英語がうまいねえ」

「英語だけんほんとんとこはわからんが」などとツル(池谷のぶえ)は相変わらず、演じるのが難しいセリフを見事に語っている。

 イライザのことを「奥さん、恋人?」と気になることもズバリ聞く。

 ヘブンに「同僚」と紹介され、イライザは「大切な人とか大切な友達と言ってよ」といささか不服そうだ。ヘブンとしては遠慮したようなのだが……。

 そこへ錦織(吉沢亮)が。彼は銀二郎が泊まっていると聞いてやって来たのだ。

 ヘブンはイライザに錦織を「同僚でお世話になっている」とまた「同僚」を使うが、すでに錦織はヘブンの距離感に失望しているので、ここではもう落胆を見せない。

 むしろ、イライザに「先生の大切な方と伺っています」とあいさつする。

「あなたの名前は手紙で」とイライザは錦織を知っていて、「はじめて会った気がしないわ」とすぐに打ち解けた感じになった。

 イライザは「大切な方」と実は言ってくれていたことに機嫌を良くし、錦織も自分のことを手紙に書いてくれていたことを知って、うれしい。

 つまり、ヘブンは決して冷たいわけではなく、他者との距離感にいつも不安を覚えているだけなのだ。ほんとはとても関わった人たちに対して愛情深い人なのだろう。

 3人は旅館の2階でお茶。

「尊敬してる」
「君こそ才能にあふれて」

 イライザとヘブンはお互いを褒め合う。たぶん、錦織の目にはひじょうにいい感じに映ったことだろう。

 日本を紹介したのはイライザだった。皮肉な話である。イライザはかなりヘブンに好意を持っていて、彼によかれと思って紹介した日本で、彼はトキに出会ってしまったのだから。

 書き終えたら日本を出るから、その前にイライザも日本を見に来た。それを聞いて、またしょんぼりしてしまう錦織。ナイーブな人である。

 そのころ、トキと銀二郎は――。