感情の機微が排除され、1ミリの躊躇もなく、ひたすら指令通りに動く戦闘兵士の登場は未来ではなく、すでに始まっているのだ。
兵力不足の行き着く先は
女性への徴兵制導入か
25年6月、尹前大統領の罷免(ひめん)により行われた大統領選挙で李在明大統領が誕生し、政権交代が起きた。前政権で立てられた『国防革新4.0』も修正されうるのではないかと訊くと、次のように話した。
「AIを基盤とした有無人体系の開発はロシアが早かったですが、資金不足といわれ、中国が開発に取り組んで猛追しているといわれます。アメリカもそうした動きから国防計画を変更し、有無人体系に移りつつある。そろそろ現れるでしょう。
韓国の国防計画も多少の変更は見られるかもしれませんが、こうした世界的趨勢から見て内容を変えるには遅いのではないでしょうか」
すると、兵力が減少しても問題にはならないのだろうか。
「AI有無人体系を導入しても、組織を整理し改編するには時間がかかります」
そう言ってから、128万人という北朝鮮の兵力資源との非対称について改めて触れた。
李在明大統領が去る大統領選挙で公約としたのは、従来の徴兵制を「選択」で補完するというものだった。徴兵制を維持しつつ選択的募兵制をとる。これは、一般兵として10カ月服務するか、技術集約型の戦闘副士官として36カ月服務するかを選ぶものだ。
尹前政権時代にも、徴兵制と募兵制の併用や女性の徴兵などが俎上(そじょう)に載せられていたが、国防省はいずれも時間をかけた論議が必要と、導入に慎重な立場をとっていた。
キム副会長は言う。
『韓国消滅の危機 人口激減社会のリアル』(菅野朋子、KADOKAWA)
「財閥並みの破格の月給が出るのであれば別ですが、そうなると国防費では負担できないでしょう。
やはり、スウェーデンやノルウェーのように、女性も兵役の対象にすることになるのではないでしょうか。女性兵士の場合は戦車に乗ってもらい、前線には赴かない」
女性が捕虜になった場合、性被害の危険性があるためだと付け加えた。
イスラエルは、兵力が不足し、女性も兵役の対象になった。当初は捕虜となる憂慮があるので前線には行かせていなかったが、現在は一部が前線に投入されていると報じられている。
兵力資源の「第二の絶壁」は2037年といわれるが、これから数年で韓国の国防の体系がどう変わっていくのか、日本にとっては他人事ではない。







