この時、何が不安か書き出して行ってもいいですし、漠然と相談するのもいいです。介護は複雑な制度の上で成り立っており、何がわからないかもわからない。専門用語も多い。小さな疑問や違和感がクリアになるまで聞くことをあきらめないでほしい。行政への相談では、私も随分助けられました。

 介護認定を受け、要支援や要介護などの結果が出れば、デイサービスやショートステイ、介護用品のレンタルなども保険の範囲内で利用できるようになります。

 それと同時に、私は周囲の人(友人、仕事関係者、親族、友人、近所の人)に「助けて」と言い始めました。

 兄たちがいますが、高齢なので頼れない。私は一人娘で結婚していませんし、子供もいない。家族は母のみです。いとこや親しい友人はいますが、俳優の仕事は不規則ですし、長期間、家を空けなければならいこともあります。当時、街で顔見知りと話すたびに、仕事や食事会で誰かと会うたびに「誰かこういうことを助けてくれる人、いない?」と声をかけ続けました。

 すると、友人を介して、ある女性が日常的にサポートしてくれることに。撮影が長引いたり、母が鍵を渡し忘れてデイサービスに送り出してしまったりといった突発的な事態には、目の前にいる誰かが、例えば当時のマネージャーが動いてくれたりして、多くの人にお世話になりました。

 スケジュール的に危ないことは何度もあったのですが、必死で綱渡りをして、乗り切ることができました。お世話になった方には本当に感謝ばかりです。

「心配だから親を自宅に引き取る」が最適解とは限らない

 このように、介護は助け合いやコミュニティが大切です。親と同居していない人は、「心配なので親を自宅に引き取る」と考えてしまいがちです。

 でもそれは、親が築いてきた人間関係から遠ざけるということでもあり、そのことから老いが一気に進行してしまう可能性もあるのです。その時の親の状況を見極めて行政や地域のコミュニティと連携し、遠くから見守ることがも大切、適度な距離がお互いの幸せにつながることもあるのではないかと思うのです。

→インタビュー後半に続く