デンマーク人に学ぶ
最高のパートナーの見つけ方
ミシェルさんは現在、新しいパートナーと一緒に暮らしています。結婚の予定はないそうですが、今とても幸せだと言います。最高のパートナーを見つける上で重要なことは何ですか?と聞くとこんな答えが返ってきました。
「とにかく、できる限り、正直であること。パートナーや自分自身に正直ではない人を見かけるわ。私もそうだった。でも正直であるほど、すべてが上手くいくの。もっと多くの助けを得ることができるのよ。今の彼と関係を持つようになってから、ありのままの姿を見せようと思った。何も隠さないって。
不細工でも、怒っていても、自分自身についてよく思っていなかったとしてもね。そうしたら、とっても大きな自由を感じることができたの。そしてもし同じことを両親、子ども、友人にやってみればどうなるのかなって思ったの。それはとても大きな冒険だった。今はもう失敗したことを話すのは恐いことではないわ」
そんなミシェルさんは、ブログでも普段の生活で上手くいったこと、そうでないことの両方を見せるそうです。「人は、自分をよりよくするために、戦うべきだと思うの。世界で最も幸せな人は、彼ら自身や持っているリソースを最もシェアした人だと学んだのよ」
「自分をよりよくする」というのは外見や持ちものにお金をかけたり経済力のある人と生活できることを他人に見せることではなく、ありのままの自分を受け入れてそれを信頼している人たちに見せることなのです。
恥を隠すために覆っているものを一枚、一枚、はがしていくことは恐いことでもありますが、それは周囲の人に“誰もが完璧な存在ではない”という安心感と信頼を与え人を惹き付ける魅力となります。
FacebookやTwitterで充実した生活ぶりを一生懸命アピールする人はたくさんいます。私もときどき、自分のことをよく思われたいと思って書いていないか自分に問いかけます。
実際にそうしているときはないとは言えません。自然にやってしまうこともあります。ただしそういう内容ほど、本当の意味で他人の共感や信頼を得ることはできないと感じています。
2010年のTEDxHoustonでスピーカーとして登壇したヒューストン大学の教授で研究者のブレネー・ブラウンさんは、“傷つく心の力”というタイトルで、それが帰属意識や愛情に溢れた人が共通して持っているものであると説明しています。彼女は最後にこんな言葉でスピーチを締めくくりました。
「もっとも重要だと考えるのは、自分はよくやっていると信じることです。なぜなら、自分はよくやっていると言える立場を信じてそこから働きかけるときに、叫ぶのをやめて傾聴し、もっと優しく穏やかに周りに接し、自分自身にも優しく穏やかになれるからです」
理想のパートナーや理想の自分のイメージに捕われず、自分や相手のレベルを量るための物差しがない、不確かな状況をまずは受け入れる勇気を持つことでお互いにとって本当に意味のあるライフスタイルが段々見えてくるのではないかと思います。
さらに、デンマーク人のように、子どもができて10年たってから結婚してもそれがその人の幸せであればいいじゃないかと、個人の意思を尊重する寛大な心を持つことがこれからの日本人のライフスタイルの可能性を広げ、より豊かにするのではないでしょうか。
次回の第7回は9月27日掲載予定です。
(7・8月はお休みとなります)
大本綾(おおもと・あや)
1985年生まれ。立命館大学産業社会学部を卒業後、WPPグループの広告会社であるグレイワールドワイドに入社。大手消費材メーカーのブランド戦略、コミュニケーション開発に携わる。プライベートでは、TEDxTokyo yz、TEDxTokyoのイベント企画、運営に携わる。2012年4月にビル&メリンダ・ゲイツ財団とのパートナーシップによりベルリンで開催されたTEDxChangeのサテライトイベント、TEDxTokyoChangeではプロジェクトリーダーを務めた。デンマークのビジネスデザインスクール、The KaosPilotsに初の日本人留学生として受け入れられ、2012年8月から留学中。
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