では、高級美容商材ならどうでしょうか。はたまた、子供の教育事業なら、アプローチする富裕層をどのように定義するのがふさわしいでしょうか。ハウスメーカーならどのような可能性があるでしょうか。どのビジネスにも通じますが、ビジネスの戦略を考える前に、自分が向き合っている相手の解像度をできるだけ明確にイメージすることが大事です。

 特に富裕層ビジネスでは、「誰に」という点に着目した「自分にとっての富裕層の定義」がまずはとても大切になってくるのです。逆にいえば、このゾーン以外は対応しないと決めることでもあり、あれもこれもと欲張らずに「やらない領域を定義する」こともビジネスでは大切なのです。

富裕層の多くは全身全霊をかけて
好きなことに情熱を注ぐ

 私が多くの富裕層と話していて感じることのひとつに、「新しいことへの学びに貪欲な富裕層が多い」というものがあります。実際に私のお客様には旧富裕層の方も新富裕層の方も多いですが、尊敬するほどみなさん勉強熱心です。

 例えばスポーツカーの代表ともいえるフェラーリ。「これはなんというモデルですか?」と話題にしようものなら、自身のドライビングエピソードを交えながら、性能やデザインなどのスペック、そのモデルが誕生した背景とブランドにおける立ち位置、なぜ自分が欲しいと思ったかをフェラーリの歴史や哲学を織り交ぜながら滔々と語り出すオーナーがいます。

 そして、同様の熱量でランボルギーニやマクラーレンとの違いなども取り入れながら、最近のF1の状況から電気自動車、最新の自動運転技術と、とめどなく語ることができるのです。

 そしてその内容がまた面白いことが多いのですから、感心するほかありません。

 彼らはなんとなく高い車に乗っているわけではない、という当然の事実に改めて感心させられる思いがしました。

 こうしたエピソードを、ある人はワイン、ある人は時計やスーツの生地、といった具合に、富裕層の方たちは数多く持っています。忙しい日々のなかでいったいいつ学ぶ時間があるのか不思議に思うほど、その知識や情報量には驚かされるばかりです。