制度運用の不公平さこそが
少子化の一因でもある
そもそも有休も育休制度も、フリーランスや非正規雇用者が制度の対象外である時点で、今の社会構造とは合致していない。令和4年の総務省「労働力調査」によると、日本の労働人口の36.9%が非正規雇用者である。女性だけに絞れば、53.4%が非正規雇用者である。さらに、自営業者やフリーランスは産休の恩恵にもあずかれない。全体の半分以上が使えない社会制度をもって、政府は「対策はしている」と言う。だが、制度を「利用できる人」と「利用できない人」が明確に分かれてしまっている制度は、ないのと同じである。そして「利用できない側」に回ったら最後、本来もらえるはずの権利が得られないなら、人はやはり「利用できる側」を切望する。
『単身リスク 「100年人生」をどう生きるか』(山田昌弘、朝日新書)
このような制度運用の不公平さこそが、少子化の一因でもある。そう私は繰り返し政府に訴えてきた。「制度があっても機能していなければ意味がない」のだと。
実際に企業経営者からは、いまだに「正直、子どもを産んだ女性は戦力にならないんですよね」という声が聞こえてくる。理由は「産休・育休を取るから」。周囲の社員も迷惑だという。だから「子どもを産まない男性」に、仕事も責任も昇進も昇給も偏っていく。
そんな社会に、今の若者たちは漕ぎ出していく。そんな彼らに「幸あれ」と応援する前に、私たちにはできることがあるはずだ。それは「人生はいくらでもやり直しがきくんだよ」と自信を持って伝えられる社会設計にすること。それが私たちの世代の役割ではないだろうか。







